310、戦闘と二人
「途中から離脱するけど心配しないでねぇ」
客室の前方の窓から顔を覗かせるユリィ。
恐らく森途中まで2人が手網を引き数が増えたらそれぞれ戦闘態勢に入るのだろう。
「じゃあ抜けたら起こしてくれ」
「バカ言うなよアレス。俺達の華麗なる魔法を見とけ」
走り始める馬車は暗闇の中へ。
壁となる木々の間を駆け抜ける。
「私達も加勢する?」
「そんなに弱くねぇよあいつらは」
「違うよ、私達の実力も見せたいでしょ?」
なんとも頼もしい相方なことで。
「今回は休ませて貰おう、何よりユリィとミカエルの力が見たい」
走る馬車の周囲に漂う魔力。
恐らく飛行型の魔獣、羽ばたく音が空間に埋め尽くされる。
下位魔獣だが数の力が圧倒的すぎる。
「ー真雷ー」
前方より感じる精密な魔力と共に走る電光。
小窓から見える白線は網目状に空へと放射され飛行魔獣を繋ぐように伝線する。
これが「芸術」と呼ばれるミカエル・カエサルの雷魔法。
こんなにも的確に魔獣を殺す放射線は宮廷魔道士にも描けない。
「それじゃあ私も」
ユリィは魔法を詠唱する時いつものゆったりとした口調ではなく凛とした静かな声色に変貌する。
それがどことなく恐怖にも似た冷徹さを漂わせる。
「ー水玉ー」
ユリィが杖を振ると球体の水が杖先から空に向けて放たれる。
ゆっくりと進む水玉は浮遊する魔獣にぶつかると包み込みゆっくりと動きを鈍らせ、最後には口から血が水に染み込み絶命する。
それを30は居る魔獣に連鎖する。
「ねぇねぇアレス、本当にあの二人アレスと同じクラスだったの?」
「あぁ、今のあいつらを見たら想像も出来ないだろうがな。前はもっとひどい有様だったよ」
杖を振れば建物を破壊し、魔力を込めれば暴発する。
言わゆる問題児、それに俺がいた最下層のクラスは他が20名居るのに対して僅かに5名だった。
「2人は手網を頼んだぞ」
窓から覗くミカエル。
指示を得て客室から操縦席へ。
「さすがに4人は狭いな」
操縦は4人座れる幅はあるのだが幾分狭い。
まぁミカエルとユリィは立っているからマシだけど。
「じゃあゆっくりとしててねぇ」
ゆるりと杖を振るユリィ。
「特等席から俺の魔法を見れるなんて運が良いな」
杖を手早く振るミカエル。
「どっちが討伐数多いか勝負だ」
「まっけないよぉ」
「アレス、合図よろしく」
手を挙げゆっくりと下に降ろす。
「じゃあ、はじめ!」
ユリィは自身を水に変化させ姿を消しミカエルは閃光と共に姿を消す。




