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idealonline~白き龍と魔王~  作者: 十月
誕生、魔獣大都市
8/21

tame6 神楯のゼウス

 教会の上にいた人間が地面にゆっくりと降りてくる、長い銀髪をポニーテールに、顔つきこそ優しく笑顔を浮かべているがこの裏で何を考えているか分からない雰囲気を纏っている。服はさっきの奴と似たデザインのカソック、だがこちらの色は白だ。そして何より目立つのが背中から生えている六枚の翼だ。


(さすがにこのままだとマズい)


 だがどう行動すれば最適解なのかわからない、相手は地面に降りてきたこいつは俺の近くまで来るが


「何をなさる気ですか?」


 ティアがそれを許さない、そんなティアを見てもゼウスは


「君のご主人はここで感覚共有スキルの修正しないと、いつか何百万体分の思考を抱えて頭が壊れて二度とログインできなくなるよ?」


「は?」


 思わず素っ頓狂な声が出る、二度とログイン出来なくなるってどういうことだよ?



「ただでさえ君は今人が一日に見る光景の三倍の光景を見て記憶しているの、このままだと君は仮想の死ではなく現実で死んでしまう、だから今から抑止の権限で軽くスキルを修正させてもらうけど、問題ないよね?」


「わ、わかった……」


 ゲームで死ぬは勘弁願いたい、修正してくれるならこちからお願いしたい。ただ


 彼(?)が俺の額に触れると視界の歪みや気持ち悪さがたちまち治っていく、これが抑止力NPCの力か。


「パッシブだった感覚共有をオンオフ可能のアクティブスキルにしたよ、基本的な仕様は変わらないけどこれでさっきみたいな気持ち悪さは起こさないはずだから」


「助かる」


 こういう風に修正されていくのか、このゲームはまだ始めたばかりだからこういう経験ができると新鮮だな。


「ハイ、お終い」


 終わり、と言われてもイマイチ実感がなかったのでシキル画面を確認する。すると感覚共有はしっかりパッシブからアクティブ蘭に移動していた。だが一つ気になることができた


「貴方らは一体何のためにこんなことを?」


 この人たちはGMみたいなものと聞いたが、それ以上の意味がありそうだ


「良いゲームに近づける為っていうのが一つ、こちらの世界都合で言うなら近い将来、分かりやすく言えば人間対悪の『戦争』が起きるんだよ。君たちからしたら大規模イベントの一種になるけど、僕らにとっては存亡をかけた一戦だからね。少しでも強力な戦力が欲しいっていうのが一つ」


 ……悪? 人間対魔物ではないのか


「さっき君が戦ってたヴァルガ教っているでしょ? あれの主神が敵になるんだよ」


「ってことはヴァルガっていうのが敵になるのか」


「そうそう、そいつは一度姿を現せば世界を混沌に陥れる存在だからね、ボクらからしたら絶対に倒さないといけない相手なんだ」


「なるほどなぁ……」


 ゲームでいうラスボスとかネトゲでよくいるレイドボス的な奴なのかな? と思った、それと……


「未来の魔王ってなんだ? ティアのことか?」


 こいつが自己紹介の際に放った未来の魔王、という言葉が引っかかる。少なくともプレイヤーをさす言葉ではないだろ。


「いや、君だよドラゴニア君。君は文字通り魔物の王になる、どう足掻いてもね」


「は?」


 ちょっと待てちょっと待て、どういう事だよ。ゼウスは更に続ける。


「問題はその後だ、毎日どったんばったん大騒ぎする笑劇(ファルス)みたいな生活を送るか、その魔物を使ってこのゲームそのものを混乱に陥れる血生臭い劇(グランギニョル)をするかボクは今から楽しみで仕方な……」


「前者で」


 迷わず即答する、第一そんな戦争戦争やってらんないでしょ、シリアルキラーじゃあるまいし。あとこの人セリフが厨二っぽくなった瞬間すごく声音が楽しそうになってたけど厨二病こじれてるのかな? なんか口調作るの馬鹿らしくなってきた。


「第一他のネトゲでもPVPばかりとか食傷気味になるタイプの人間なんで俺」


 真面目な話あんな十時間二十時間罵倒したりされたりしながらPVPとか格ゲーできる奴は個人的にすごいと思う、俺は絶対にできない。


「ハハッそっかそっかこれは面白いものが見れそうだ……」


 ゼウスはこちらに関心を持ったようなイメージを受ける、雰囲気でなんとなくそう思った。


「それじゃあボクは他のプレイヤーも監視しなくちゃいけないからこれで失礼するよ」


「あいーっす、お勤めご苦労さんでーす」


 それを聞いたゼウスは六枚の翼を羽ばたかせて遥か上空に消え去っていく、できれば二度と会いたくない。


「ご主人……」


 元の姿に戻ったティアがこちらを心配そうに見つめてくる、こいつが言いたいことはまぁわかる。


「心配すんなって、俺はテイマーやり続けるよ」


 頭をこちょこちょ擽ってやるとすぐに幸せそうな表情になった。こいつはこういう顔が一番よく似合う。


「あの……もうよろしいでしょうか」


 気付いたら若い衆と共に木に擬態してた大将がこちらに近づいてくる、さすがに抑止力NPCは騙せてないんじゃないかと思うとまた笑いそうになる。


「悪い悪い、こっちの事情でグダグダになっちまった」


「いえ……報酬の話をしたいのでもう一度村に来ていただいても?」


 そういえばこれクエストだったっけ……流れが急すぎてすっかり忘れてた。


「分かった、ロボも行くぞー!」


「了解しやしたー!」


 暫く姿を見ていないと思い叫んだら廃教会の扉を破壊しながら現れるロボ、静かだと思ったら中を調べていたらしい。後で報告してもらおうか……


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