tame 19 御託(ごたく)と報酬
「うぃーお疲れー、ほれ」
そう言ってカトルさんがトスで寄越してきたのは…俺には泡立つ液体の入った瓶、ルーさんには怪しい光を放つ何か
「ドラゴニアお前はまずそれを飲め、飲みきったら報告しろルーにはちゃんとした報酬だ、今回は助かった、冒険者ギルドとしてもこれは実績として記録しとくぞ」
「はい……」
そう言ったルーさんは報酬を受け取るとメニュー画面を操作して粒子となって消えていく。ログアウトした証だ。
カトルさんの言葉で思い出したけどこの人今冒険者ギルドのギルド長でもあるんだった……とりあえず受け取った瓶を確認する
【炭酸ポーション:飲めばシュワっと広がるベリー風味の炭酸!HPが回復するぞ!!…正直効果は普通のポーションとそこまで変わらない】
……とりあえず飲む
本来なら味も炭酸を飲んでる感覚もないはずなのに微妙に口内で弾ける感じがする。
「その何ていうか……微妙に炭酸の弾ける感じが」
その言葉を聞いたカトルさんが少し険しい表情をする
「いいか? 今後もクレアシオンスキル、覚えたらアイテディアルスキルは絶対に”ここぞ”って場面以外での使用禁止だ、いいな? やり過ぎれば仮想現実混同症になりかねない」
ゲーム脳、かつてはテレビゲームを長時間プレイし続けることで脳の前頭前野の活動が低下し、感情の抑制ができなくなったり、キレやすくなったりする状態のことをさしていたが、科学的根拠不十分によって病気とは認められていない。
だがVRゲームが流行りだしてから意味が変わって復活した言葉だ、該当する症状として日常生活で見ているものがゲーム的なものに見えてしまう症状だ…脳障害か視覚障害なのかはわからん、専門家に聞いてくれって感じだ。でもなるのは怖いので
「気を付けます」
と返す、それよりも
「ティア、ロボ、姉御は一旦休憩のために帰れ、サキュバスは……まぁ」
「ちょっとあっち行ってるね」
……聞かれて困ることでもないけどチャチャ入っても困るから正直助かる、サキュバスの言葉を皮切りにサキュバスは少し遠くへ、ファミリア達は魔方陣を通じて牧場へと帰還してくれた。
「んでその顔、まだ聞きたいことあんだろ?」
……全部答えてくれとは思わないけど
「正直情報が多すぎてちゃんと補足貰いながら整理したいっすね」
「しょうがねえなぁ……オレからの報酬って答えてやるよ、物資的なものはウリエルからちゃんともらえ」
正直情報もアイテムも手に入るのは助かる
「まず一つ、結局イデアと抑止の違いってなんなんすか?」
「まぁまず、イデアだな。成りたいもんに向かってひた向きに努力し続けた人間の極致だよ。こうなると一般人には届かない実力を持ってるし自分の寿命すら自分で決める事実上の不老不死にもなる」
……なるほど、ゲーム的に言えば最終クラスジョブ的なもんか?
「その中で数人、お前が会ったソレイユ、ゼウス、オレは世界の在り方の調整とか転移者目線だとゲーム的な役割を担っている感じだ、ゼウスがスキルバランス調整とかそんなもん」
……あー成程ね、イデアの中から選ばれたGMNPCって認識で良さそう
「んでオレがアカウントBAN担当って感じで役割分担がある感じ」
目の前で軽くシャドーし始めるカトルさん流石にBANはされたく無いからはっちゃけても違反はしないように遊ぼう……
「次、結局ヴァルガ、ヴァルガ教ってなんなんすか?」
「ヴァルガは他の神が作った世界を奪って自分の面白いようになんもかんも滅茶苦茶にしちまうクッッッソ迷惑な神、疫病神でも生ぬるいんじゃないか?」
……なるほど、言い方はあれだけどシムゲー大好きオジサン的だな?
「んでその『自分にとって都合のいい世界を目指して』って付き従う生物達がヴァルガ教、元は人間だったりその辺うろついてる魔物だったりするが姿かたち変わりまくって原形がわからんことになってるとんだモンスターカルト教団だよ」
なんかモンスターっていう言葉もあってるのかわからん奴らだな。
「次、ゲーム的な質問になるんすけど、これ明らかにメインから大きく反れた話題っすよね?なんで巻き込まれたんすか?ルーさんのせい?」
正直今まであったベインとか今回のブレインみたいな奴は明らかに隠しボス感が強かった、俺ってゲームの本題からずれたことやらされる感じが凄いんだよね
「あぁ?ふっつうにお前のブルーティアラも原因だぞ」
ふぁ?
「ただのユニークモンスターじゃねえ。この世界の創生の理に深く関わってる、神話級のユニーク個体だ。宇宙規模で見れば、あいつが羽ばたくたびに夜空の星々が王冠を授かったように輝く。……だからこそ異名は万星の蒼冠、オレが転移してなきゃ世界終焉のトリガーは間違いなくあいつの役割だったしその役割がなくても世界の一つや二つ一方的にぶち壊せる力持ってんかんな……って古代書物の引用だけど」
――背筋に悪寒が走る、まさか
「ティアがヴァルガに狙われる可能性は?」
「ほぼ100%、だからこそ簡単に渡すなよ」
これが……ユニークを持つって事か……内心不安になる
「どうすれ……」
「知るかボケェ! オレはお前等甘やかす存在じゃねえから!! もう面倒くせえから以上だ」
流石に聞きすぎたか?ちょっと不機嫌そうになるカトルさん……選択を間違えたかもしれない、BANされる!? と思ったがカトルさんはウリエルを一撫でした後に
「……まぁ、当面課題位はくれてやる」
そう言ってどこからか羊皮紙を出して炭で何か文字を書いていくカトルさん……そして渡されたのが
【マスターズオーダー:当面の課題
※本クエストに明確な完了はありません、自分がこれでいいと思ったところで抑止力NPCカトルに報告してください
一、ファミリアを確保しよう※一勢力で複数の国と対抗できる前提の数
一、協力してくれる人や契約外の魔物を増やそう
一、ファミリアを進化させよう
一、物資を確保しよう※国一つの倉庫埋めるくらい
一、資金を貯めよう※国家予算レベルで
】
と書かれた羊皮紙を渡され、俺の手に渡るとそれがクエストウィンドウに吸い込まれてクエストとして登録される……
国一つ分の物資。
国家予算レベルの資金。
複数国家相当の戦力。
「……これ個人に出すクエストじゃなくないっすか?」
「知らん」
「知らんじゃないんすよ!!」
無理ゲーって叫びたい
「まぁざっくりだがこんなもんだろ、後デイリーコンテンツ解放もあるから今度ギルドに冒険者登録しに来い、俺が対応する」
……適当なのか責任感なのか、っていうか冒険者登録とかあったのか
「んじゃあ頑張れ新人、オレはここらで退散するわ、精々ブルーティアラ泣かさん位には頑張れー」
そういいながらこちらに背中を向けて手を振りながら出口に向かうカトルさん
「……」
ん?サキュバスになんか言ったような気もするけどまぁいいか
「じゃあ次は僕の番だねー」
一人と一匹だけになった空間で語り掛けてくれるのはウリエル、そのウリエル頭上からものすごく輝く何かがゆっくり俺の手に収まる……これが報酬?
【楽園の世界樹:小さいとはいえ数多の世界を内包する世界樹の苗木、育てたらファミリアの住処になりそうだ】
「……」
開いた口が塞がらない、とんでもないもの貰っちゃった……
「あとー」
「まって!?まだ何か!?」
正直無限に住処作れる世界樹だけでもらいすぎだって!?
――ピロンっという音の後に”スキルが追加されました”というシステムボイス
【召喚:ウリエル
地の神ウリエルを召喚し一定時間共闘してもらう
】
……神様召喚していいの?え?まって???
「んじゃあ僕も寝るねー!!」
役目は終わったといわんばかりに眠りにつくウリエル、どうしようもないのでそのままサキュバスの方へ行く
「……」
「その、何ていうか……埋まっとく?」
自らの胸をぽんぽんと叩いて慰めはいるかというサキュバス
……胸には埋まらなかったけど肩に頭は預けさせてもらった。




