キジムナーカイトとの出会い
いつのまにがじゅまるの木の横を歩いていた。
すると、またがじゅまるの木がゆれだした。
龍二は秘密の場所でのショックで、行くときの出来事をすっかり忘れてしまっていた。まるで夢遊病者のように歩いている。
なにげなくがじゅまるの木の下にちらっと目をやると、何か人影のようなものがみえた。よく見ると龍二よりも背が低く髪が赤く子供のようだ。
「君、誰?」
龍二はきいた。
「えっ?・・・君、僕の姿が見えるん?」
男の子は不思議に思った。
「もちろんや。・・・、でも君だれ?こんなとこでなにしてんの?君ちっちゃいなー、どこからきたん、何年生」
龍二はたてつづけに聞いた。
「ハハハハー、ぼく、ちっちゃいけど小学生やないで。・・・、こうみえても15歳になるねん。人間の年にたとえたらな」
「えっ、15歳?人間の年って?それどういうこと?」
龍二は聞き返した。
「でも、僕達の世界では七十歳位かな」
「僕達の世界って?」
龍二は男の子がなにをいってるのかさっぱりわからなかった。
「キジムナーの世界ってことさ」
(えっ、キジムナー?・・・。やっぱり、キジムナーやったんや)
龍二はつぶやくと走って逃げようとした。
「ちょっとまってや!君、海の上歩きたいんちゃうの?・・・、僕歩けるよ」
「えっ?」
龍二は立ち止まった。
(なんでそんなこと知ってるんや)
龍二は首をひねった。
「昨日もあきらと秘密の場所におったやろ、今日もな!ずっと見とったんやで」
どうやらキジムナーに一部始終見られてたようだ。
「えっ、見とったって・・・?」
龍二は何故か恥ずかしかった。
「そうやねん。最初からぜーんぶな」
「そうなんや・・・。でも僕の友達のあきらくんて子がおるねんな!ほんであきらくんな、海の上歩けるねんで。でもなぁ、僕はどうしても歩かれへんかってん・・・」
龍二は、蚊の鳴くような声でいった。
「君、あきらが海の上歩くの見たことがあるん?」
キジムナーは龍二の顔を覗き込むようにいった。
「見たことはないねんけどな、でもあきらくんは歩けるねん・・・」
龍二はまだあきらを信じていた。
(そうかぁ、そういうことなんや、ほんで僕の姿が見えるねんな)
キジムナーは、あきらが海の上を歩けない事をもちろん知っていた。龍二は人を疑うということを知らないのだろう。つまり童心(純真)なのだ。
5百年以上も前は、人間とキジムナーには争い事がなかった。だから人間の子供とキジムナーの子供は、いつも遊んでいたのだ。
しかし人間は変わっていった。私利欲物となり、人間どうし争うようになった。そしていつの日か人間には、キジムナーが見えなくなってしまっていた。
しかし、キジムナーには人間が見える。キジムナーは何百年も変わってないからだ。いつしか人間が元の心に戻り、争い事もなくなり、また昔のように子供達どうし遊べたらどんなにいいだろう。キジムナーはずっと思っていた。
しかし、童心であれば誰にでもきじむなーの姿が見えるわけではない。龍二は特別なのであろう。




