カミナリから秘密の場所へ!
龍二は逃げたカミナリのことが気にはなっていたが、秘密の場所のことに興味がわき、カミナリのことはどうでもよくなり自然と忘れていった。
夏休みに入るとあきらは毎日龍二を誘いに来た。
「龍ちゃん遊ぼう。俺さー、秘密の場所見つけたさねー」
「うそー、ほんまにー。秘密の場所って?どこどこ、どうやって見つけたん?」
「ぶんじーたちには内緒さねー、龍ちゃんだけにおしえるんだからさ」
あいかわらずあきらは威張り口調だ。
「うんわかった。でも、なんでみんなに内緒なん?」
龍二は不思議に思った。
「だっからよー、だってそうさー。僕と龍ちゃん二人だけの秘密の場所になるんだからさ、ぶんじーたちには内緒にしとかないと秘密の場所にならないさーね!・・・だろう?」
龍二は嬉しかった。
(僕だけに教えてくれたんや、ありがとう)
と、心の中でつぶやいた。
「そういやあきらくん、カミナリ見つかれへんかったね」
龍二は思い出したようにいうと、あきらはちょっとバツが悪そうな顔で
「だっからよ、龍ちゃん。カミナリカミナリってうるさいさーね。カミナリのことは、もうどうでもいいさー。だろう?」
あきらはうまいこと逃げた。秘密の場所に行く事で、カミナリの話しから切り離したかったのだ。
龍二はなにがなんだかわからないままただうなずいていた。龍二は秘密の場所に気持ちがいくと、カミナリのことはもうどうでもよかった。
明日、いつものがじゅまるの木の下で待ち合わせの約束をすると、あきらは帰っていった。
そして龍二は、秘密の場所のことが気になってその日はほとんど眠れなかった。
次の朝
「あきらくーん遅いよう」
白いランニングシャツに半ズボン、そしてかなぐる帽子(むぎわら帽子)に島ぞうり。龍二はまちわびていた。
「ごめんごめん、龍ちゃん待ったねー」
「まったまったー、待ったいうねん。あきらくん、いつまでまたすねん」
「それがうちなー(沖縄)タイムさー。どんまいどんまい」
あきらは息をきらしながら、両手を広げおどけてみせた。
「龍ちゃんと二人だけで行きたいからさー」
本当は、秘密の場所に下見に行っていたのだ。誰かいたら、秘密の場所にならない。
「あきらくん、早くいこうや」
龍二は急かした。秘密の場所のことで頭がいっぱいで、いてもたってもいられなかったのだ。
「だーるねー(そうだね)。龍ちゃん、じゃーそろそろいこうね」
向かってる途中急に風がふいた。そして、ざわざわとがじゅまるの木が揺れだした。
「えっ?」
龍二はふりむいた。
「あきらくん、誰かおれへんかった?」
まだがじゅまるの木が揺れている。
しかしあきらは
「気のせいさー」
あきらはまったく気にならない。
「僕たまに見るねんで、このがじゅまるの木の下でなー、ちらっと。でもなー、すぐおれへんなってしまうねん」
龍二は不思議そうにいった。
「だからよー、気のせいっていってるさーね。気にしない気にしない、龍ちゃん早くいくよ」
あきらはそんなことにはまったく興味がなかった。
「やっぱり気のせいかなー?。・・・まっ、いっか!」
龍二は、秘密の場所のことで頭がいっぱいで、その時は気にもとめなかった。




