↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/29

マジムンの世界 1

「あきらくん、夜の空から見た古宇利島、きれいやろう?」


「・・・・・」

あきらは古宇利島にいったことがないので答えようがなかった。それに、古宇利島の夜景の美しさにも、あきらは興味がなかった。


(龍ちゃん、早くいくで)

カイトはうまくごまかした。


古宇利島を過ぎると、突然風が強く吹いた。そして、どす黒い霧が発生していて、前方がまったく見えなくなってしまっていた。


(たしか、このへんやった思うねんけどな!)

カイトは長老にいわれたとおり、この場所に来てみた。しかし、それ以上は聞かせてもらえなかった。ここからは、自分の力でいかなければならないということだった。

するとカイトは、霧のなかにはいっていった。


(カイトー、ちょっとまってや)

龍二は慌ててカイトについていった。あきらはもたつきながらもなんとか着いていったが、怖くて声がでない。


(ここかな?)

カイトは、下のほうをじっと見つめている。まっ暗闇で、まったく下が見えない。しばらくじっと見ていると、なんと米つぶぐらいの小さな光のようなものが見えた。


(ここやっ!)


カイトは叫ぶと、あきらの腕を掴み、光の方向に向かって飛んでいった。一瞬だった!すばやく、龍二もついていった。すると、そこはマジムンの世界の入り口だった。入り口は海底にあった。すなわち、ニライカナイの国への入り口でもあった。


(やったで、龍ちゃん。ナイスタイミングや!このタイミングのがしたら、当分入られへんとこやったわー)


(しかし、あんなちっちゃい光の中に、ぼくたちよう入れたなー)

龍二は感動していた。


「あれっ、あきらくん、ズボンぬれてる?」


「だからよ!海に入ったら濡れるにきまってるさー」

あきらは、苦しまぎれにいった。


「あっ!そうかー」

しかし龍二のズボンは濡れてなかった。あきらは、突然のカイトの行動で怖くなり、小便を漏らしてたのだ。

マジムンの世界は妙に薄暗かった。それに空気が乾いていて、まるで洞窟を広くしたようだ。それに、いまにもマジムンが出てきそうな雰囲気だ。


しばらくいくと、前方からある物体が猛然と三人の方向に向かって来るのが見えた。近くまで来ると、龍二とカイトは自然によけた。その物体は、ウヮーマジムン(豚の妖怪)だった。しかし、ウヮーマジムンの狙いはあきらだったのだ。あきらに向かって雄叫びあげながら猛然と突っ込んでくる。しかしあきらはよけようとしない。


(あれっ?・・・、龍ちゃん、あきらに石厳當渡してへんの?)


(えっ?なんでーな、ぼく渡したよー!ほんで、落としたらあかんでっていうたよ)


(おっかしいなー)

ふたりは首をかしげた。


「ぎゃー、たしきれー(助けて)」


ウヮーマジムンは、猛然とあきらをめがけて突っ込んでくる。あきらは逃げた。必死に逃げた。ウヮーマジムンはまっすぐしか走れない。

だが、あきらがジグザグに逃げてるせいか、なんとか逃げきっている。それが妙にこっけいに見えた。


「あきらくん、ウヮーマジムンなんかやっつけたらええやん!鬼にくらべたらかんたんにやっつけれるやろう!」


「だからよう、あれは鬼の話しさー!こいつ、マジムンだよー。マジムンに勝てるわけないさー!わかってるバー!」


「ん?そうなんやー!あきらくん、それやったら走って逃げんと飛んだらええやん」


「えっ?なにそれ!それを早くいえばいいさー。龍ちゃんぬーえるばーがー(なんやねんな)」

するとあきらは飛んだ。そしてやっとマジムンから逃れた。


「ふーっ助かったー。ウヮーマジムンさ、なんでおれだけ追いかけるわけ?もうデージするさー!」

ウヮーマジムンは、まだあきらを睨んでいる。まだ諦めきれないようだ。


「それはそうと、あきらくん。石厳當、もってるんやろう?」

龍二はマジムンの世界に入る前、たしかに石敢當をあきらに渡していた。


「で、石厳當ってなんねー?」


「げっ!こっち来る時、キーホルダーみたいなん、あきらくんにわたしたやんか!」


「あー、あれっ?あんなもんとっくに捨てたさー」

カイトは、龍二と目をあわすと、フーとため息をついた。


(こいつ、どこまでも迷惑なやっちゃなー、しんどうなってきたわ。ほんまこれから大変やでしかし)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。