東京へ瞬間移動!
「ここどこ?」
「東京やで龍ちゃん!」
「げーっ、もう東京?瞬間移動ってこういうことなんやー!めっちゃ早いやんかー!ほんまに一瞬やったでー」
「だから、一瞬で行くっていうたやん!なんでやねん龍ちゃん、いまさらびっくりせんでええで!いままでがびっくりだらけやってんやろう?」
「それはそうやけど、それにしてもびっくりしたわー」
「しかし、すごいとこやなー。見てみーな龍ちゃん、ビルだらけやんか!それにあの車の列、この世のもんとは思われへんなー。夜見るとめっちゃきれいなー!」
そこは東京のど真ん中で、ふたりはその真上にきていた。
空から見る東京の夜景は、カイトにしてもさすがに初めて見る光景で、まるでそれは宝石をちりばめたようだった。
「上地くん、こんなとこにすんでるんやー!病気になるはずやで」
「龍ちゃん龍ちゃん!それとこれとはちがう思うねんけど」
「カイトー!早く上地くんの家さがそうや」
「なにいうてんの龍ちゃん、上地くんの家ここやここ!この真下や」
「へー、そうなんや。なーなー、でもなんで家まで知ってんの?」
「なんでって龍ちゃん!こっちくるまえにハガキもらったやろう!その住所をやな、頭にインプットして、ほんで瞬間移動したんやで!」
上から見下ろすとその下には高層マンションがあった。ふたりはゆっくりと降りていくと、途中笑い声が聞こえてきた。
「ここやで龍ちゃん!」
ふたりはベランダに降りた。
龍二は覗き込むように部屋の中を見ると上地くんらしい子がいた。家族団らんで賑やかに見える!
「おったー、おったで上地くん!ほら、あの子が上地くんや」
龍二は大声で部屋の中を指さした。
「あの子が上地くんか!それにしてもどっか龍ちゃんに雰囲気似てんなー」
カイトはなんとなくそう思った。
「ちょっといってくるわー」
「ちょっ、ちょっと待ってーな!あちゃー、いってもうたわ」
龍二の突然の行動に、カイトは止めようがなかった。龍二はベランダから廊下にまわり、チャイムを鳴らした。しばらくするとドアが開いた。
(こんばんわー!ぼくおおしろですけど、上地くんいてますかー)
するとドアが開いた。しかし数秒でドアがバタンと勢いよく閉まった。
(あれっ?閉まったで)
龍二は不思議に思った。
カイトは理由がわかってはいたが、あえて龍二にはだまっていた。
「おかあちゃん、誰?」
「わかれへん!誰もおれへんかったで」
「なんで?なんか子供の声聞こえた気がしてんけど!」
「なにいうてんの祐二!だれもおれへんかったいうねん!」
「おっかしいなー」
上地は頭をかしげながらドアを開け、廊下を覗いてみた。
するとそこには龍二が立っていた。
「あれっ?、おおしろくんやん・・・」
(やー、上地くん久しぶりー)
龍二は右手を上げ、挨拶をした。。
(さっきなー、上地くんのお母ちゃん出てきてんけどなー、いきなり閉められてんやんか!)
「ほんまー!僕もなー、なんか聞こえてんけどなー、お母ちゃん誰もおれへんいうからなー、不思議に思ってん。だから覗いて見てんやんか」
(上地くんのお母ちゃん、もしかして僕たちのこと見えてへんかったんかな?)
「えーっ、僕たちって?おおしろくんひとりやん!」
(なんでやねん?・・・。そっかー、もしかしてカイトのこと見えてへんのか?)
「えっ、カイト?おおしろくん、カイトって誰なんよ」
上地は不思議に思った。
(龍ちゃん、僕のこと見えるわけないわ!龍ちゃんのことが見えるだけでも不思議やねんから!)
「あれっ?・・・、誰かおるやん!今の誰の声?おおしろくんと声がちがうし!でもなんか聞こえたで!」
(へー、たまげたなー!僕の声が聞こえるんやね!この子なんやねん!龍ちゃんだけや思ったらもう一人こんな子がおったんや!)
「聞こえてるよ!でもなんで姿が見えてへんの?」
上地は不思議に思って聞くと、カイトは説明した。
龍二との出会ったきっかけや、なぜ自分の姿が見えるのか!そして、上地と龍二が、普通の人間とはなにか違う能力をもっているということを、こと細かく説明した。
「祐二―、なにひとりで喋ってんねん!」
家の中から大きな声が聞こえた。
「あっ、お母ちゃんや!やばいやばい!僕の部屋いこうや!どうせお母ちゃんには、僕らのこと見えてへんねやろう?」
祐二はそういうと、三人はリビングをカニ歩きするように、上地のの部屋に入っていった。部屋に入るとカイトはいった。
(これからは上地くんも、龍ちゃんみたいに心と心で喋れるようにしよう!上地くん、お父ちゃんお母ちゃんに、またひとりごといってると変に思われるからな!それと上地くんにも僕の姿も見えるようにしたるわ!)
「へー、そんなんできるんや!」
(しーっ、上地くん!これからは声に出して喋らなくていいからね!)
龍二は人差し指を鼻の前にあてた仕草でいうと、カイトも一人仲間が増えて喜びをあらわにした。
カイトは嬉しかった。まさかもうひとりの人間と喋ることができるとは、夢にも思わなかったのだろう。
これから三人は、他に人がいる時はしばらくこのような形の会話でいくことにした。
(なーなー上地くん!ちがう野球の帽子がなんで二つあるん?なんか意味があるんかな?)
(それがなー、僕もわかれへんねんやんか)
勉強机の上の壁には、阪神の帽子と巨人の帽子がかけられてあった。
(それがなー、お父ちゃん買ってくれてるんけどなー、意味わかれへんねんやんか!)
(意味わかれへんって?)
龍二にもさっぱり意味が分かっていないのだが、二人の真剣なやり取りがカイトにはなぜか微笑ましく思った。
(おおしろくん、だってなー、お父ちゃん巨人ファンやねんて!でもなー、お母ちゃんの実家大阪に帰るときにはなー、ぼく阪神の帽子かぶらされんねんで!意味わからんやろう)
(上地くん、もしかしてお母ちゃんの実家、阪神ファンちゃーうん?)
カイトはだいたいわかっていた。
(そうなんかなー、ようわかれへんけど・・・。でもな、阪神の帽子かぶっていったら、おこずかいいっぱいもらえるねんて!お母ちゃんいうてた)
(やっぱりそうかー、僕はだいたいわかってたけどな)
(カイトー、なにがわかったんよ?僕もさっぱりわかれへんねんけど!)
(おおしろくん、ぼくもっとわかれへんわ!)
(まー龍ちゃん、龍ちゃんたちにはまだわかれへんねんって、上地くんちにもな、大人の世界があるっちゅうこっちゃ!それはそうと龍ちゃん、あのはなし上地くんにしたらええやん)
(えっ、あのはなしって?)
(冒険のはなしやんか!)
(そんなん、上地くんにはなしてええの?)
龍二は前にカイトにいわれたことがあった。自分たちのことを、他人にはなしをしたらいけないと言われたことを!
(ええねんええねん、あきらたちはあかんけどな!でも上地くんはええねんで。さっきいうたやろう?上地くんはな、龍ちゃんにちょっとちかいもんがあるってな!だからな、上地くんにはなんでもはなしてええねんで)
(そうなんやー、ほんならいっぱいはなすことあるでー)
龍二はそういうと、いままでの出来事を順序よくはなした。あきらが海を歩いたことや、カイトとの出会い、そしてみんなといった空の冒険!龍二は、誰かによほどはなしたかったのだろう。胸につかえたものがとれたような気がした。上地もまた、龍二に励まされ、そして奇跡的に病気がよくなったことをカイトにはなした。




