上地くんに逢いたい
「こらーっ龍二―!ゆんすべー(寝小便)しよったなー。起きんかーもーっ、ほんまに!」
母親はかなきり声をあげると、龍二を布団から放り出し、寝小便で濡れた布団を干しだした。
「えーっ?なんでやろう!なんでゆんすべーしたんやろう!・・・?そうやしまったー、昨日スイカ食べ過ぎたんやー!でもお母ちゃんにはそんな言い訳通用せーへんしな!」
「なにぶつぶついうとんねん!はよう着替えなさい。」
「わかった」
龍二はぼそっというと、追い出されるように家をでていった。
しばらく歩いた。どことなく歩いていると、秘密の場所の近くにいた。右の方向を見るとスイカ畑があった。
「あっ、スイカや!・・・、もうええっちゅうねん!スイカのせいやでほんまに!スイカ恐怖症になってしもうたわ!」
龍二はそういうと、秘密の場所まで走っていった。
「夜とちがって昼もええなー!しかし、あっついなー」
龍二は岩陰を見つけると横になった。目を閉じるといろんなことが走馬灯のようによみがえってきた。
しばらく横になっていると、昨夜の疲れと、海風の涼しさによって、つい寝てしまった。
「あっつー」
龍二は暑さで目が覚めた。いつのまに太陽が真上にきていて、顔だけが太陽に当たり、真っ黒に焼けていた。海風もなくなり、よほど暑かったのだろう、汗びっしょりになっていた。そして別の岩陰に移動すると、しばらくぼうっとしながらなぜかふと上地のことを思い出した。
(・・・、上地くん!そうや、上地くんや!)
龍二は、すっかり忘れてしまっていた。上地と別れたあと、いろんなことがあり、急に沖縄に転校せざるえなかったため、つい上地のことを忘れてしまっていたのだ。
(上地くん、あんとき元気なかったもんなー。なんか気になるなー!めっちゃ上地くんにあいたくなったなー。カイトに・・・。そうや、そんなときはカイトに相談やー)
龍二は急に元気になった。すると、むくっと起き上がるとカイトのいる場所へ走っていった。
「カイトー、僕やー、龍二やー!カイトー、起きてるー?」
「なんや、龍ちゃんどないしたん?」
カイトは、目をこすりながら起きてきた。まだ寝たりないようだ。
「ごめんごめん、カイトに相談があってん!」
「・・・で、僕に相談って?」
「そやねんそやねん、相談やねん。ほんでな!」
龍二は、大阪での出来事をカイトに全部話した。
「ほんで龍ちゃん、相談って?」
「そやねん!上地くんなー」
「だから、その上地くんに会いたいねんやろう?龍ちゃん!」
「げっ、またやー!なんでもカイトは知ってるやん!」
「そりゃーそうやろう!龍ちゃん単純やもん。僕にはすぐわかるわ。それはそうと、はなしは早いほうがええわ!さっそく今晩有限実行や!」
「な、なに?ゆうげんじっこうって!」
「まーええやん!とりあえず、早く上地くんにあいにいこうっちゅうことや!」
「やったー、上地くんに会いに行けるんやー。やっぱりカイトに相談にきてよかったわー」
龍二はそういうと、とりあえず家に帰っていった。
夕飯を食べ終わると、急いでカイトのところに行った。
「龍ちゃん、上地って子どこまで会いにいったらええの?」
「そやねん、それそれ!だからなー、僕こんなんもってきてんねんけど!」
龍二は、上地の引越し先の住所のはいったハガキをカイトにわたした。
「おうっ、よう気いつくやん龍ちゃん!これさえあったらすぐやで、ほんま即行いけるわ」
龍二は、カイトにほめられてちょっと照れ笑いした。
「なーなーカイトー!どうやっていくんよ?」
「まぁまぁ、龍ちゃん!龍ちゃんはそんなん気にせんでええって!たかが東京やろう?東京なんかな、屁―みたいなもんやで!ちゃっちゃと一瞬でいったるわ!」
カイトの能力からすると簡単なのかも知れない。
「けどなーカイト、東京ってな、大阪よりもずーっとずーっと遠いらしいで!」
「龍ちゃん、心配せんかてええって!こういう時はなー、僕たちは瞬間移動するねん!」
「へー、しゅんかんいどうって?」
「そやな、一瞬にして東京にいけるっちゅうことやな!」
「カイトってやっぱりすごいなー!僕なんかなー、おかあちゃんと大阪からなー、船に乗ってきてんけどなー、二回も寝たんやで!」
「二回寝たって?それって二日も船に乗ってたってことか?ほんで龍ちゃん、船酔いは大丈夫やったんか?」
実際、大阪港から那覇港までは35時間くらいかかっていた。さすがにカイトは知っていた。
「船酔いはしなかったよ!でもな、めっちゃ楽しかったで」
「まーまー龍ちゃん!それはそうと早いとこいこうか?」
カイトはそういうと、龍二の両手を強くにぎった。するとその瞬間ふたりの姿が消えた。




