いざ ニライカナイへ! 1
翌日、龍二は何事もなかったかのように、いつものようにみんなと遊んでいた。しかし誰ひとり昨夜のはなしをする事もない。龍二はほっとしていた。みんな昨日の出来事を覚えていないのだろう。夢の中の出来事なのだから。
龍二はカイトにお礼を言うためにがじゅまるの木に向かった。
「カイトー、きのうはありがとう」
龍二は、ぺこりと頭を下げた。
「ぼくこそありがとうやで。そんなん生まれてはじめてやもんな」
逆にカイトもお礼をいった。
「龍ちゃん、今度はぼくからお願いがあるねん」
「へー、カイトのお願いってなんやろう」
「おれ、いきたいところがあるねん」
「いきたいところって?カイトはどこへでも行けてるんとちがうん?」
「それがいったことないところがあるんよ。そこはやな、ニライカナイっていう国があるねんけどな、海の向こうに神の国があるらしいねんて!長老がいうてた。でもな、途中にマジムン(魔物)の国があって、そこを通らんとニライカナイの国までいかれへんらしいわ」
「そこっていきたい、めっちゃいきたいワー」
「でもな龍ちゃん、途中マジムンの国があるねんで、わかってるか?そこを通らんとニライカナイにはいかれへんねんで」
カイトは龍二を諭すようにいった。
「それやったらだいじょうぶやー、あきらくんつれていったらいいやん。あきらくんな、鬼やっつけたんやで、そやからな、あきらくんめっちゃ強いねんで」
龍二は、あきらをまだ信用していた。
「ふー、またあきらかー」
カイトは小さくため息をついた。龍二は、また楽しみができた。
「カイトー、今度の冒険は、名付けてニラカナイへの大冒険やー」
カイトは苦笑いするしかなかった。
しかしニライカナイへ行くにはまだまだ準備が必要だ。それにニライカナイへと入る入口がまだ見つかっていない。
(まだまだ後になりそうやな)
カイトはつぶやいた。
夏休みも半ばにはいると、あれほどうるさかったセミの鳴き声も静かになり、カイトはやっと睡眠不足解消となった。きじむなーは、人間とはまったく逆の生活で、明るい時に寝て夜に活動するからだ。
「ほんま、うるさかったなー、でもやっと寝れるわー。ワシワシワシ(なきじんではクマゼミのことをワシワシと呼ぶ)って、鳴きくさってほんまー」
そういうとカイトは深い眠りにはいった。




