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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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割れた風鈴


 物置から取り出したこれは風鈴かな。私は妹の箱からそれを持ち上げる。思い出の品と母の字で書いてある。妹の過去がその箱にはそのままに残っている。


 風鈴、ガラスで作られたこれは地域の子供会であったガラス工芸の体験制作で作ったものだろう。確か、私のものもあったはず。


 それにしてもこれはボロボロだ。私達姉妹の中で妹は1番ガサツだった。それぞれの箱の入れ方にさえ性格が出る。


 このガラス綺麗だな。妹のものは私の記憶の中の物よりも一段と綺麗だった。彼女はガサツだけれど。私は上に上げて、あおい空に透かす。


 風鈴の肝となる紐の部分を解いてから壁から出る釘へと垂らす。チリンチリン、チリンチリン。下に向く金属部がガラスの縁に当たる。耳が音に濯ぐ。


 窓から風が吹く。小さな風が網戸を越えて部屋に吹き込む。白いシャツと肌の間に。汗が消える、髪が靡く。


 風鈴は動かない。肝心の音が鳴らない。風鈴の風受けの厚紙が取れて無いのだ。妹のガサツに紙は耐えられなかったらしい。


「ねぇ、お母さん?」


「ん?」


 私はバタバタと部屋の中を走り回り、窓際にかかる風鈴へと手を伸ばす。


 チリンチリン、チリンチリン。風が吹く。綺麗な波状の美しい模様。下には不細工な厚紙が風に揺れる。


「私のはガラスが割れてた」


 私は笑う。健やかな風に。のんびりと。

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