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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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割れた鏡の中の部屋


 割れた部屋の中の世界は何かが変わるのだろうかと、私は大きい鏡台の前で考える。勿論、今な自分の部屋を汚く荒らせば鏡の中の世界も同じ様に、反転して汚く有らせる事だろう。ある種、私は鏡の世界にも影響出来る。


 であるならば、鏡という存在はどうだろうか。私の顔は悩みに歪む。この鏡台は母から貰ったもので、母がお婆ちゃんから貰ったものだ。


 私は悩む。よく鏡の中の世界と現実の世界を何かの比喩にする。人は鏡だとか。「行為とは自分の姿を写す鏡である」とか。


 でもそれは鏡の中の世界に写る自分だけにフォーカスを置いているよね。もし、鏡に向かって私が金属バットを振りかぶったとして、そこには粉々になった鏡が残るだろうが、私の非力では勿論粉々には出来なくて、きっと鏡台に大きな塊の鏡がいくつも残るだろう。そこから中を覗けば、変わらない世界があるだろう。


 鏡は破壊されたのに、私は私のままでいる。部屋は綺麗なままである。では、そう悉く、人の生き方に出される鏡とは何なのだろう。


 もしかすると変わるのかもしれない。この鏡台を破壊した先に、写る自分はまるで過去の自分とは違うのかも知れない。


 私は鏡に写った顔を見る。昨日とは何も変わらない顔。16歳。


 鏡の中に母が写る。ずっと見ていたのだろう。

「見てたの?」


「見てたよ、好きな子でも出来たの?」


「違うよ!」


 鏡台の鏡はひび割れの一つもない。母さんは鏡を割らずに自分を変えたのでしょうか。お婆ちゃんもきっとそうでしょう。


 私は。

 

 

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