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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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消えなかった影

 影送りは消えない。

 地面を見つめるわたしは砂つぶを数え始める。ぐっと下を見つめて、影の形は人の輪郭をしている。


 影送りはずっと影を見つめて、空を見る。影が空に写るというもの。


 思いの外、長くそれは目の中に残り続ける。子供の時の遊びがこの歳になると随分と懐かしいものになる。


 連絡はとってほしい。たまに顔を見せてほしい。年に一回くらいは絶対。


 わたしはそこまで言葉を考えて、ゆっくりと自分の年齢を飲み込む。指折りなどしたら、涙が溢れてしまいそうになる。


「お母さん」


「ん?」


「じゃあ、もうそろそろ時間だから」


 そう言って、子供が1人立ち上がる。私もそれの後を追う様にして立ち上がり、玄関に向かう。


 さっき考えていた言葉たちが玄関に近づくにつれて、心の中でバタバタする。でも面倒な親だとは思われたくは無い。


 他の言葉を探すけれど、それもまた邪魔をする。子供は淡々と準備をして、靴を床に鳴らす。大きくなったスニーカー、誰のものかと毎回思う。


 子供は玄関の扉を開ける。日差しが流れ込む。私も外用のスリッパを履いて後を追う。子供の影がこちらに伸びる。私はその影を見つめる。少し見つめて、そして前を見る。


 写る影法師、それはずっと思っているより大きくて、昔の影が今の子供の姿に霧散する。


「いってらっしゃい」


「行ってきます」


「うん」ただ手を振る、私。


「また着いたら連絡する。顔も出す」


「うん!」ただ手を振る、私。


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