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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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濡れた手紙


 濡れた手紙が欲しい、私。


 手紙って古臭いよ。切手を貼って、わざわざポストまで持って行って、今ならスマホでLINEでフリックすれば簡単に文章なんてものは作れるのに。


「そう思わない」そうLINE上で言葉を作る。彼からのLINEはずっと帰ってきていない。多分、もう少しで1ヶ月になると思う。


 彼が「連絡を控えて欲しい」と言ってから、私はずっとその言葉を信じて連絡を取らなかった。彼氏の為に連絡を控えたのだから、彼氏はその気持ちを確かに汲んでくれると思って。


「僕たちはもう別れたほうがいいと思う」やっとのLINE、彼は言った。


「そう思わない」私は言う。言ってから心のどこかがすっとなったのを感じてから、傷むのを感じる。感情は頭にあるはずなのに、胸が痛い。


「一回会わない?」と私。


「会う必要ある、話すことないでしょ?」と彼。


 会う必要があると思うから提案している。私がぐちゃぐちゃになる頭の中から出したものはたった一つ、涙だった。


 涙が落ちる。液晶画面。


 手紙って古臭いよ。彼が昔そう言った。やはりそう思えない、私。濡れない言葉、歪まない文字。


 トーク履歴を消そうか。履歴をフリックする、緑と白が何度もすれ違う。何度も何度も。上へ行って下へ行ってを繰り返す。


 私は手紙が欲しい。濡れた手紙が。液晶に涙が落ちる。もっともっと落とす。


 ぐちゃぐちゃに滲め。手の中で。

 

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