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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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沈むな舟

 子供の頃はよく草舟というものをよく流していた。そういう言葉は無いのかもしれない、近いもので笹舟というものはあるが、笹で作ってばっかりでは無かったし、笹に似た別の草の葉を使って舟を編んでいた。


 私の家の近くには綺麗な二級河川があってそこへ毎日の様に赴いていた。子供ながらに水に入ることというのに抵抗があった。親に怒られるというのがチラついていたのだろう。


 その様な子供がすることは川に石を投げることか、前述した草舟を川に流すことだけだった。


 河川敷、私はそんな事を考えて大きめの石に腰掛ける。


「彼氏のばかやろー」そう言って、川に石を投げ入れる。草舟を思い出したのは、石が水を跳ね上げた瞬間だった。


 昔と同じ事をやっている自分の姿に笑いが出る。時間の間を思い出せないくらいに今と昔のその時だけが繋がっている。


 私はふと思いついて、靴を後ろにほっぽり投げて、靴下をズボンのポケットに放り込む。ゆっくりと川に近づいていき、右足からその冷たさを受け取る。


 家族の顔がピリッと浮かぶが、冷たさが流す。バシャバシャと鳴る水が聞こえる。そこらの草をむしり取ると、手慣れた手つきで草舟を作って流す。


 昔の草舟はどこまで流れただろうか。まさか海までは辿り着くまいが。


 草舟は先へ先へと進んでいく。ふらつきながらも、変化に合わせてバランスをとり確かに前に進んでいく。


 私は水に入る足を見る。そして、また前を向く。


 

 

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