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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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消えなかった音


 仕事を辞めた。理由は『自分が不甲斐なくなったから』。


 私は毎日、朝ゆっくりと起きる。家にいる両親の顔色を伺いながら、朝食を取る。2人ともスマホを触っている朝。その姿を見て、私は昔の2人の姿を重ねる。ずれている部分はぼかしてから自室へ戻る。


 午後からは実家の荷運びを行う。前年度、世帯がこの家から一つ無くなった。それ故にそう言った作業が生まれる。


 程よい疲れに体を馴染ませていく、閉じ切っていた窓などを開けると温暖な光が体を照らす。皮膚が活気立つ。


 そうして5時間ほど毎日荷物を整理する。疲れた体にご飯を入れる。仕事をしていた時よりも痩せた。両親の釜の飯を少しでも食べたくはなかった。どれだけの生活費を払えど、何か自分の前に立ちはだかる。


 両親は私の顔を上手く見れないようである。理由は考えない。


 そうして夜を迎える。


 私は夜が好きだった。夜は1人になれる。その静音の中で私は落ちていく。ずっとずっと沈んで、何も気にせず。


 午前3時半を記録する。目を瞑り、腕で目を覆い光を遮断した。暗い部屋、音もない。


 けれど音はうちから出てくる。脳内を内側から圧迫するような音がどうしようもなく発せられる。音の振動は目の眠気を覚ます。




 ごめんなさい、許してください。私は布団の中で正座をして額を擦り付ける。寝かせてください、許してください。私に夜をください。


 音は消えず。

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