ひと気のない商店街
面白くない、つまらない、人気がない、いる意味がない。こう言った言葉が飛び交う商店街。
近くに大型のモールが出来たことによってここの姿はガラリと変わった。その変化というのが、住民によってどう受け止められているかは、それぞれの価値観である。
「悲しい?」
「まぁ、そうだね。昔はいっぱい人が居たし。今の寂れたこの商店街を見るのはね」
後になって、この質問というのが心無い発言だったかなと想像したが、もう遅かった。幸い、そこまで表情の変化はない。
彼女はこの商店街の生まれで、私は彼女の友達であると思う。何故私がここにいるのか、無論結婚の為の挨拶などではない。彼女の実家に行く訳でもなく、ただ彼女が私をここへ連れてきたのだ。
「ここの八百屋は同級生の子供がいたよ。今は閉まっているけれど、昔は普通に道まで溢れんばかりだったよ」
「ここは?」
「ここは煎餅屋だった。お土産として乾物とか、焼き物のお菓子は売れてたんだよ」
「ここは?」それから、閉まるシャッターに向けての質問に彼女は答え続けた、意気揚々と博物館のキュレーターの様に。
彼女が何を思っているのか。ここに連れてきた意味、私がいる意味。
「あなたの心はどこにあるの?」
「どこって、今住んでいるあの部屋だよ。ここには誰もいないじゃない。父も母も移住した」
ならなんで。彼女の顔は。




