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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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潮風にさらされた防波堤の柵


「あーあー、抜け出しちゃったーなー」わざとらしく宙に言葉を吐き出す自分。日の日差しの空、潮風それと言葉を出した喉の組み合わせが異様に新鮮に感じる。


 喉が震えて痒い。ギプスを外したての腕みたいに。


「仕事を抜け出すなんて、どうしようもない奴だ。俺は」声にすると楽になる気がして、そういう風に言葉を使う。海は潮騒を返す。ずっと大きな音で。


 防波堤の柵に肘をつけてスマホを眺める。画面をつけたが、連絡はないらしい、メールも来ていない。


 LINEも流す様に見た。友達とか、田舎の母とか父とか兄弟とか。そういうのが見えてその度に彼らがどういう風に今の僕の行動を語るのかを考える。


 田園の中の家でテレビとインターネットの通る家の彼らは優しいだろう。今時をちゃんと学んでいて。


「海は広い」言葉を作り、頭に残り続けていたありふれた慣用句を思う。


 潮騒は僕の言葉をかき消す。防波堤の柵も潮風で錆びつき、その姿を美しく保てない様である。


 海の果てを見る。けれど、その見えうる水平線でさえ海の終わりではない事を知っている。そんな事に今更気がつく。


 蛙は田舎ではよく鳴いていた。田園の中に山ほどいて、耳障りな程に大音量で。


 それはそれは潮騒よりも余程大きく聞こえたはずなのに。


「アァーーーーー!!!!!」僕は心の底から鳴き叫ぶ。1秒後には潮騒に消される声で。何度でも、何度でも。


 

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