色褪せたポスターの貼られた掲示板
僕は小学校の帰りにガラスの扉を備えたコルクボードの掲示板をよく目にしていた。中には日に焼けて、インクの色を風化した印刷物の画鋲で刺されぶら下がるのみ。
誰も見ないあの掲示板。必然、それは中を変えないのであるから、変化しないものを毎日見るなどと言う変わり者は少ないだろう。けれども、あの掲示板もまたそれが誰かによって頻繁に更新されて、綺麗なインクの乗ったコピー紙が我らの町のイベントを紹介していたに違いない。それが止まっていたのだ。
僕はある道路に立っている。大人になって小さくなったこの道路は、スクールゾーンに相応しい、ミニチュアの様などこか愛らしさを持つ。
この道をずんずんと進んでいけば、いずれは僕が通った小学校へと到着する。大人の足はあの過酷な道のりを最も簡単にすいすいと通り抜ける。変わりゆく景色の速さはアルバムを巡る様な。
ここで僕は思い出したのだ、薄いアルバムの様に数枚の紙が張り出された掲示板を。僕は歩を速めるとぐっと進む。パチパチと刺激する景色が五感を若さの狭間に連れ戻し、好感が肌を震わせる。
そして、そこへ到着した。南に小学校の校舎の屋根が見える、竹林を背する区画の前にそれは。
無かった。
姿形もなく。それはすっぽりと取り除かれた写真の見る影もない様。近づいていくが、ゲームの読み込みなどではない、決してもう現れることはない。
ほったらかされていた掲示板、僕はさらっとそれに見る価値がない、見る人などいないと。それがこんな風に胸中に露見するとは思ってもいなかった。
僕はそこでしばらく立ち尽くした。小学生の時は飲めなかったコーヒーと、大きな背広のワイシャツ、革靴を履いて。その景色をゆっくりとリロードする。




