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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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朽ちかけた木造校舎の階段


 僕の手には一枚のカードがある。目の前には小学校の頃の友人が佇む。思う。カードを見る。僕は多分、しばらくはこの今を思い続けるだろう。


「同窓会来たんだね」僕に1人の友人が言った。

 小学生にとって友達というのは僕にとってはその時々でコロコロと変わる物だった。この1人の友人はその中でも珍しい一年生の頃からの付き合いで今も友人である。


「来たよ。と言っても別にこの校舎を懐かしみに来たのだが」


 校舎の半分にはブルーシートが覆い被さって、ショベルカーが3台、時間が停止したよう。


「ツンデレめ、今時流行らないぞ」友人の言葉を無視して僕は歩き出す。


「大事なものを無くすのは惜しいだろ。友人が死んだ訳でもない」


「縁起でもない。これから帰るか?」


「帰る」僕の後をつく親の様に友人は歩く。朽ちかけの校舎は長居には向かない。そんな気がした。集まった教室を後にし、階段を降りる。その後ろを誰かがついてきた。


 それは別の友人だった。いつかの時、短い間あった友人関係の人。aとする。


「帰るのか?」


「帰るよ」


「ちょっと待って、これ返したくて」


 そう言ってaは僕の手にカードを乗せた。僕はそれを見て、それが何だったかをすぐに思い出した。何か言おうとしたが、aの姿はもう無かった。


「何それ、昔のトレーディングカードか。お前がやってたやつ」友人が言った。


「これ、盗まれてたやつ、aに。とても大事だったやつ」


 僕は校舎を見る。朽ちかけの校舎。カードを見る。ぐっとその隅から隅までを指でなぞる。


「あいつ、自分の罪悪感とかで……」


「なぁ、焼肉行かない?」僕はいう。


「え、あぁ、いや金あんの?」


「これ売るの」カードをペラペラと宙に踊らせる。


 結局、カードは端金にしかならなかったが焼肉は美味かった。後にLINEに校舎の写真が送られてきた。


 僕はそれをしばらく見続けた。


「焼きすぎたから、これあげる」友人は黒焦げの肉をこっちの皿に寄越し、笑う。


 安肉。噛み切れないそれを全て、ビールに流す。何も考えず。

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