錆びた自転車の帰り道
「明日、朝9時から。また」スマホを閉じる、グループ名B2研。光が消えて暗闇になる。
ギシリギシリと音が鳴る。僕は聞き分けのない自転車を無理やりに押して進めるが、それが泣き止むことはない。
帰り道。何度も通ったこの道にこの錆びた音が並ぶようになったのはいつからだろうかと思い出そうとする。台数が多く、雨ざらしの駐輪場。それがこの錆きった今の姿を作り出した。
毎日使っているというのに、僕は随分とこの自転車に対して横柄だったように思う。十分な療養を行うこともせずに、毎日毎日酷使したのだから。
ギシリギシリと音がなる。今、僕は悲鳴を上げている自転車を、筋肉がはち切れんばかりの体で押している。チェーンはだらんとして外れている。
チェーンをはめなおしてもすぐにまた外れる。3回目外れた時にもう直すのを諦めた。
全身で自転車を押す。夜闇に押す。暗闇は本当に暗闇だった。山の中にある僕の通う大学はある。帰り道は数メートル毎に置かれた電灯のみでその間は本当に暗い。
手元すら見えず、僕は暗闇で自分が何を押しているのかを見失う。体の軋みが浮き彫りになる。重さのある暗闇を押すと、足、腕が隆起する筋肉で少し太くなり、痛む。汗が出る。涙が出る。声が出る。
ギシリギシリと音がなる。自転車を止める。耳を閉じる。
ギシリギシリ。




