消えない靴跡の朝
まず目を覚ました時、僕はベッドの下の花束を手で確認する。そして、はぁーっと長いため息を吐いてから、ベッドから歩き始めた。
机の上には飲みかけの酎ハイが一本、それを綺麗に洗い流してから、僕はビニール袋の中に仕舞い込む。カラカラと中で音が弾けたがそれを聴く間もなく机へ向かう。
油のこびりついた机の上、更には残された料理がそれぞれ少しずつ残る。食べれそうなものはタッパー に片付けていって、ダメそうなものは捨てた。
机の上を拭く作業にあたった時、グッと登り詰める吐き気があり、口を咄嗟に抑える。
いつ寝たのだろう。動いた記憶は無いけれど、起きた時にはベッドの上、嫌な汗をかいて湿気が充満していた。
深い眠りで、動きが少なかったのかベッドはかなり綺麗に設えられたままで起きた時に掛け布団まで掛かっていた。
僕は昨日のことを痛む頭で必死に探る。探るが何も分からない。
咄嗟にLINEを見返す。
中にピン留めされた名前が一つ。連絡はない。
ふっと笑う。ベッドの下のラッピング済みの花束を目で確認して、苦く。
本当に何も無かったみたいだ。
空いた何かを探すために僕は外に出る。朝日。積もった雪を照らす。
照らされた雪。そこに靴跡が並んで二つ、大きいものと小さいもの。それと逆向きに小さいもの。
僕は空気中に白い息を吐く。赤くなる鼻をこする。あった、あった。
僕は少しだけまた笑う。あぁ、昼には溶けて消えるだろうか。




