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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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止まらない換気扇


 荷物はようやく大方が何らかの入れ物に収納された。朝から初めて、終わったのが今。午後3時を時計が記録する。


「この光熱費の紙要る?」


「あぁ、捨てといて」


 束感を作らせた髪の毛の兄。私にはその頭がごった返した今朝の部屋の様に見えたが、彼にはそれが整っている様に見えるらしい。でなければ、何度も何度もそれをいじいじしたりはしない。


「それは自分でやるから置いといて」兄が母に言い放つ。母は「そう」と笑って、別の荷物へと取り掛かった。


 その母の後ろ姿を兄は見つめて、苦い顔をする。私はその顔を見る。ぐっと見つめる。


 荷物が更にまとまり始めて、母は掃除に取り掛かる。母は掃除が好きだと思う。私は実家の掃除をする母の姿を見てそう思っていた。毎日のように隙間時間があれば掃除をする。息抜きにテレビを見る時も掃除をしながらする。


 フローリングに掃除機をかけたりするのは基本事項として、引越し故にいつもは掃除をしないところまで手をかける。


「この換気扇使えないの?」スイッチのうちの一つが動かない。


「そこは掃除しなくて良い」


「でも出るんだから掃除しないと、匂いもついてるから換気扇回して」

 母がそれを弄っていると、ガコンと音を立てて換気扇が回り始める。


「あら、硬いな」


「何やってんだよ」兄は冷たく言う。換気扇のスイッチは一つが強く押し込まれ、他のスイッチは押してもカラカラ音を立てて効かなくなったようだった。


「ごめんなさい」


「だから……」強く途中まで出かけた言葉が部屋に響く。それが換気扇から流れる空気に乗って消える。けれど換気扇は回り続ける。


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