乾かない靴底
部屋の中、雨が雨樋にぶつかって下に流れて行く音が聞こえる。僕はボサボサと濡れた髪の毛をタオルで乱暴に摩擦しながら水分を無くしていく。
彼女は帰っていない。もしかするとと思ったが、まだこの家に帰ってきてはいない。
僕は中まで濡れたスニーカーの底を手で確認する。一切乾いていない。確認してすぐに新聞紙を探す。
定期的に駅のキオスクで新聞を買う。買って、この家の机に置く。たくさん持ってきていたはずの新聞紙が一つも見当たらない。
少し探してそれが見当たらなくて、別の方法を探す。シューズドライヤーとかあったはずだ。保管場所の目星はついているが、ジャングルより複雑なクローゼットに踏み入らなければならない。
僕はうろうろしながら手に持つ靴の乾かなさを確認する。ティッシュなどでは少しも変わらなかった。
急いでクローゼットを探す。案の定、整理整頓された段ボールの山がいくつも作られていてそれらを開けていく作業が雪崩れ込む。
開いて閉じて、探って、違っての繰り返し。目的物は中々見つかることが無い。違う、違う、これも違う。
僕は考える。喧嘩した彼女の言葉を。先に帰宅した僕のことを。
「あなたは何も分からない」響く。
僕は靴底を確認する。未だ濡れたままの。




