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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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帰らないエレベーター


「もういい、知らない」私は血の気が湧いた頭を冷ますことなく立ち上がり、スタスタと玄関へと向かう。


「ちょっと待って。話し合おう、そうでもしなくちゃ」


 玄関に小さな鏡が立てかけてある。そこに映る私の姿はまさに小さな鬼の様だった。可愛げもなく、儚げもない。ただ金棒を振り回すだけの。


 私は玄関で横目に彼の姿を見る。顔を見る。冷静で疲れ、青い。


 私は彼の言葉に静止しない。頭によぎる冷める気持ちを無視する。私は今日すこぶる機嫌が悪いのだ。それはそういう仕方がない日だから私は悪いわけではない、私を怒らせた彼の方が悪いのだ。いつもなら我慢している、出来ている多分。


 小さなミスをする彼が悪い。気に触る彼の行動が悪い。同じ人間ではないのだから理解できない部分があるのは当然だ。悪いのは彼だ。


 そうやって私はカツカツと靴を余計に鳴らして、廊下を進む。エレベーターのボタンを押す。何度も何度も押す、考えが変な方向に巡らない様に。


 少し待ってからエレベーターが到着する。開き、後ろを少し気にして乗り込む。一階へと降りていく。オレンジ色の光。壁にもたれかかる私。


 一階へ到着して降りる。


 エレベーターを振り返る。オレンジの光を見つめ過ぎたのか、視界の中に補色の青がパチパチと映る。


 青。彼の顔。


 私はエレベーターを見続ける。ずっと青は消えず。帰れ、エレベーター。

 


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