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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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裏返しの地図


 私って昔からおバカだった。そんな事に気がつくのにも随分と時間がかかってしまった様に思う。みんな、友達も家族も、大事な人は私のことを天然だねって言う。優しい表現で、裏返しの言葉で、本当のことを言っていた。


 彼は頭が良いタイプだった。少なくとも私はそう思っていた。


 彼はたまにミスをするタイプだった。思い出した様に、大きなミスをする。私はそれをよく仕方がない人だなと飲み込んでいた。


「迷った。多分」山奥、少し遠出したいという私に彼が車を出してくれたが、どうやら迷ったらしい。


 電波も届かない山奥で私の地図アプリは開かない。しどろもどろの私だが、彼は用意してあったアナログ地図を取り出す。


 彼は地図を広げる。フロントガラス側に広げると日差しが透ける様で上手く見えないから、彼は助手席と運転席の間で地図を持っていた。だから私には、裏返しの地図が見えていた。


 思い出す。日常の事件は大方、私の周りにも起きるが周りの人がいつも解決してくれる。私には見えない様にして。私には背を向けて、私に頼らずに。


「どう思う?」すっと彼が私に地図の表を差し出してきた。それで彼の意見を述べていく。どの道を来て、どこへ向かいたいのか。そこから今はどの辺りなのか。


 私は彼の言葉を聞きながら、彼の顔を見る。それから地図に共に目を落とす。共に悩む。


 彼と私の手が地図を指差す。共にある時、指輪は光る。

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