約束のない待ち合わせ
古いデジカメのカメラロールを見る。あの頃の僕たちと言えば、その様は水に浮かぶ油みたいで。何かきっかけがあると寄ったり、また理由もなく離れたりしていた。
いつから共に登校していただろうか。小学校の時、1番近くだったからという理由で僕と友人とは仲良くなった。学校への道順も同じで僕の方がやや短い。
やってくる友人と「おはよう」と挨拶してはそのまま横並びで歩く。記憶に残らないくらい他愛無い話をした。はたまた記憶に残らないくらい、何でも話したか。
中学に上がると、登校の道が少し変わった。僕が彼の元に向かう様になったのだ。出会う、共に横に歩く。変わらない毎日。
けれど僕らは毎日変化の中で生きている。彼がある日から、1人を好む様になった。僕もその変化を察して別の友人と登校する様になった。
もとより待ち合わせを約束していた訳ではない。どうなっても自由。どうなろうと。
彼は1人が良いという風でありながら、新たな友達を見つける。その姿を家から何度か見ることがあった。
「行ってきまーす!!」玄関から大きな声で言う声が聞こえる。
「ちょっと待って。お父さん、デジタルカメラ持った?」
「持ってる持ってる!」
玄関を出ると庭の木が花びらをなびかせる。
「かずき、ちょっと待って。お母さん、もうすぐ来るから」
「待たないよー、お父さん」家の前の道には他の生徒たちが親と歩いている。その列に息子は入れないらしく、言葉とは裏腹に家の敷地を出る事は無い。
息子に追いつく。僕は少し息を整える。
「おはよう」僕に声がかけられた。そんな気がして顔を上げる。小さな小学生を膝下に歩く友人の姿がそこにあった。僕らは笑う。
何かきっかけがあると寄ったり、また理由もなく離れたりする。昔と変わる事なく。




