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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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ポケットの鍵

 私は私のこれから住む家を見たことがない。


 階段を登る。ポケットの中には金色の鍵。小さな可愛らしいハムスターでも入れているみたいに私はそれを撫で回す。


 金色の鍵、部屋の鍵。でも私はその中を見たことがない。


 金色の鍵を取り出して、光に照らす。それと並んで指には誇らしいペンだこが見える。


 私は箱入り娘。とは言っても玉手箱では無く、至って普通の鍵付きの桐箱だ。


 大事にされすぎていた。親の心配性も相待って、外遊に関しては厳しいルールの中で育った。それ以外は嘘みたいに優しいが。本当に親には感謝している。


 私は今春より、桐箱を卒業する。もちろん、それほどすぐに自由が行き過ぎる事もなく、正しくは新たに用意された桐箱へと移動するだけな訳だけれど。浮き足立つ。空気より私は軽い。


「ありがとうね」私は声を出す。


「何が?」後ろを歩く父親はややつっけんどんに返答した。その顔を見る。


「何でもないよ」


「何でもない事は無いだろう」疑問符を浮かべる顔を見て、私は前を向く。


「この階だっけ?」


「あぁ、そこの4号室」


 私はその言葉の指す先を突き進む。しっとりとした廊下、清潔にされた壁面。そして扉の前に立ち尽くす。


 すっと息を呑む。空気は程よく冷たく体を静める。


 鍵を穴に入れる。新たな私の家、私は一度父の顔を見る。そして、開ける。

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