表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/92

留守番電話の点滅


 良いじゃないか。人生で一度くらいあったって良いじゃないか。


 暗闇で私は三角座りをして、彼からであろう電話を無視した。固定電話が振動する。プルプルと私に甘えて来ている様に見える。


「電話は必ず出ろ」


「3コール以内に」


 この2つのルールを彼が提示して来た時、私はすっとそれを飲み込んだ。でも失敗だった。


 それは最初のルールだった。来いと呼ばれればどんな状態でも馳せる、買って来てと言われれば何でも買ってくる。


 でも本当に彼は酷いのだ。写真を嫌い、動画も嫌がる。食事中にインスタにあげる写真を撮るからとレンズを見せた時には発狂したみたいに怒った。


 でも彼は悪い人では無いのだ。怒るけれど暴力を振るうわけでも無いし、束縛だって、自分の自信の無さがそう言うふうに露見しているだけなのだ。可愛いでは無いか。


 私は暗闇でニンマリする。


 電話に出なかった私に対して、彼ならどうするだろうか。


 固定電話は鳴り止んでから、赤い点滅をゆっくりと起こす様になった。取ってと泣いているみたい。


 留守番電話の点滅が続く。私はゆっくりと腰を上げて、受話器を持ち上げる。


 当てた耳に劈く声が雪崩の様に押し寄せる。


 音が無くなる。部屋に1人だと浮き彫りにされる、静かにじっくり。


 もう一度再生、彼の声。うん。

 良いじゃないか。人生で一度くらいあったって良いじゃないか。


 私はニンマリする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ