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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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開かない自販機


 昔、母は駄々をこねる私に自販機で飲み物を買った。優しく頭を撫でてから。よく。


……

 劈くような言葉が耳の中へ入ってそのまま抜けていく。ちりちりとした響きだけが残って私はため息を吐きたくなる。


「嫌だ。それはしたく無い。歩かない」


 何を言っているのかな。聞こえないな。抱えようとする母の体はとても軽く。これでもかというくらいに力強い。


 泣きだす。


 何をやっているのか、私は。その表情を見て、ぐっと堪える。


 彼女の手がぐっと私の腕を掴む。爪の長さは幾分も無いから肉を削ったりはしない。肉を削ったりは。


「もう本当にごめんなさい。許してください」


 言葉を作る母を見る。私は言葉を溜める。ボタンが何度も押される。頭からは雪崩の様に言葉が流れてくるけれど、口の中に溜め続ける。


「……許してください。誰か分かりませんが、本当に」


 更にアルミがガシャガシャと音をたてる。ずっとやかましくなっていく。これを開いたらもうお終いだろうなと思う。


 私は母の頭を撫でた。落ち着けるために。ゆっくりと頭の形に沿うように。


 私は鳴り響く頭の中と言葉たちを精査する事は無い。言葉に貼り付けられたラベルを見ずにぐっと全てを飲み込んだ。

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