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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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裏返しの靴下


「ねぇ」


「ん?」


 あなたはいつも靴下を裏返しにして脱ぐよね。私は彼氏の顔を見てからその言葉を封じ込める。多分、私はこの言葉の先に口論以外の何もかもをイメージ出来なかった。だから、辞めた。


「甘いケーキの店が出来たんだって」


「行きたいの?」


 行きたいかな。ケーキ屋さんの店内の甘い匂いが好きだし、持ち帰りではなくて、その場で白い椅子に座って、ケーキを食べたいかな。だから、話をしたんだと思うよ。誰も食べたくも無いケーキ屋さんの話はしないと思うな。そんなことを考える。


「連れてってくれる?」


「どうかな」


 彼の視線はスマホに落ちる。何か調べているのか、ゲームをしているのか。ケーキ屋さんの場所とか調べているのかな。そうだったらいいけれど、現実はそう甘くは無いかな。自分で行けるのに、連れてってくれる?って聞いてしまう。何だか、それっぽいかなって。


「何見てるの?」


「ちょっと調べ物」


 教えてはくれないよね。本当にケーキ屋さんの場所かも知れない。もしかしたら、急に地球の誕生について疑問を覚えたのかも知れないし、アルブミンとグロブリンがどっちかどっちか気になったのかも知れない。そうかもね、そうなのかも。


「ねぇ」


「ん?」


 言葉を思う。けれど、彼の家から1人で帰る道を想像して、私はやめた。ケーキが食べたい、1番最初にそれを思うと楽だ。甘いし。

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