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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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期限切れのジャム


「あー、またやってしまったよー」冷蔵庫のオレンジの光が私の顔を照らす。八の字に曲がる眉毛とデコの皺、目尻の弛み、表情はそれらを生み出す。


 いけないいけない、私は冷蔵庫の奥からそれを取り出すと、さっと扉を閉める。取ったのはいちごの真っ赤なジャム、そんな事より、デコを指で撫で撫でする。いい子いい子、言う事を聞いてください、お願いします。


 私は件のジャムを持ち上げて、矯めつ眇めつ色々に見てみる。賞味期限切れの数字が視界に滑るがさっき見たので、止まらない。見ているのは中身。中身が大事なのだ。


 中には真っ赤なジャムがあるばかりで、カビの生えている様子は無い。


 一安心に一息をセットにする。低糖度のジャムを買うようにしてから、ある時カビを生やしてしまったことが一度あった。その時は低糖度を憎々しく思ったけれど、今もまだ低糖度なのは己の甘さゆえだろう。


 しかしながら、今回のジャムにカビは生えていないようだった。私はさっそくトーストを焼く。タイマーをぐいっと捻ってから時間を調節する。


 ジリジリと音を立てるタイマーがやけに耳を刺激して、私は少し早めにトーストを取り出す。もう一度、ジャムを見た。また賞味期限が過ぎった。その上で私はジャムをこれでもかとスプーンで掬い上げてトーストに塗った。かぶりつく。


 甘い、美味しい。


 また皺が出る、数字が過ぎる。でも、甘い、美味しい。全てを私は飲み込んで思う、中身は生きていると。

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