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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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133/143

乾いた雑巾


 この雑巾はいつから私のスペースにあるのだろうか。そう思いながら、ガッと掴み上げて私は自分の高さまでその乾いた雑巾を上げて見て思う。


 褪せた白はその姿をかつての純白の白を思い出させることはない。雑巾の見た目といえば、手縫い風のよく小学校の提出物で2枚持ってきてと言われていたような物を想像するかもしれないが、私の『雑巾』というのはあくまで見た目だけで言えばただのタオルだ。


 使用用途がそれを雑巾と言わしめているのだから、雑巾というのは見た目が全てでは無いのである。だからこそ、雑巾というのは汚れていても、いなくてもそれは雑巾だということであろう。


「かれこれ、ここへ引っ越してきてからだから、もうすぐ10年くらいになるかな」と独りごつ。


 雑巾をここまでひたすらに変えていないというのは、物持ちよりも不潔感に天秤は傾きそうである。これはいかんな。


 それを摘み上げて、ゴミ箱に近づく。


 雑巾は生まれながらに雑巾ではなかった。少なくともタオルとして買って、名付けたのは私だった。ペットみたいだと思う。


 犬、猫にはそれが絶対的な名前以上の種別があるから意識しないが。名前が役割を示すものなら、私の雑巾は私がこの生き方を示したと言える。


 ゴミ箱に近づく。10年にもなる。その積み重なりは何を吸ってそこまで黒くなったのか。雑巾と呼ばれなければ、それはそれほど黒くならなかったのか。


 私は独りごつ。指は布を離す。

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