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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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忘れたレシート


 机の引き出しを整理していたら、昔に見慣れた箱が出てきた。私は昔から几帳面な性格だったから、この中に何が入っているかもよく覚えている。


 この話を友達にしたら随分と引かれるだろうけれど、私はこの箱の中に彼氏と付き合っていた頃の彼のために買った物のレシートを残しているのだ。


「あなたも引く?」


「いや、別に……」旦那はぼそりと言う。


 パラパラと過去を巡る。今思えば、色々な物を元彼には買ってあげたなと思う。おしゃれに払うお金がないと言う彼には衣服を、運動のために必要だと言う彼には必要な物を、食事に拘りがある彼には取り寄せた食材を買った。一人一人の過去が輪ゴムに閉じられていると言うのは本当に滑稽だと自ずから思う。


「なんでこんな事しているのか、とか考えてる?」私は一つの束の輪ゴムを引っ張りパチンと打ちつける。旦那は質問に是を示す。


「愛情を確かめているのよ」


 レシート、感熱紙は熱でずっと真っ黒に染まる。私はこのレシートの山を見て、思える。私はこの恋愛に熱を孕んでなどいなかったと、私を失った男達に私から熱など与えていなかったのだと思える。だから、私はその全てを残している。元彼に金銭を要求するなんて温い。


「え、僕のもあるのかって?」


 不安になってる顔。あるわけ無いでしょ、とっくにあなたのレシートは手ずから焼き払ったわよ、真っ黒に。後悔なんてない。けれど、その顔が見たいから、言いはしない。


 愛情は熱。


 

 

 

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