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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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錆びついたハサミ


「切れないや、このハサミ」母が言った。


「あのさ……」

 ハサミはアルミホイルを切れば切れ味が直るんだよと、初めに私に言ったのはスマホだった。正確にいえば、スマホの中で語る人物なのだろうけれど。


 他にも、性格の遺伝というのは50%が遺伝で、残り50%は環境によるものだって言う話もスマホが教えてくれた。


 性格形成が3歳から始まり10歳程度でほぼ確立すると言う話もスマホが教えてくれた。


 私の生活にスマホが入ってきたのは3歳くらいか、それよりも前だったらしい。子供用のYoutubeを開いていただけの子守りというのが無かった時代から思えば凄い変化では無いだろうか。


 50%の環境なんだ。それが変化しているのだ。


「ハサミってさ、アルミホイルを切ればさ……」「へぇ、知らなかった〜」「性格の遺伝ってさ……」「へぇ、知らなかった〜」「性格形成ってさ……」「へぇ、知らなかった〜」


 それでさ、私がこの話をしたかったのはさ。その先がさ、話したくてさ、その前提では詰まりたくはさ、無かった訳でさ……。


 私の親はさ、いつから、こんな話辛くなったんだっけ。


 向かい合って、これから先協力して生活をし続けるだろう。


 ハサミの両刃を思う。私たちの距離の錆鉄の取り方はスマホには載っていないらしくてさ。

 

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