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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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溶けない氷砂糖


 乾パンの缶の中にはだいぶ少ない比率で氷砂糖が入っていた。まぁ、同じ比率にするべきだとかは言わない。柿ピーの割合じゃ無いんだ、私が言っていのは乾パンの缶の話しで氷砂糖の缶では無いんだから。


 乾パンといえば、祖母だった。震災を経験した身の彼女は非常食のために乾パンを常備していた。子供の頃の私といえば、その乾パンの中の氷砂糖を貰いに行くのが日課だった。


「おばあちゃん、いつものちょうだい」ぶりっこに。


「はいはい、どうぞ」プラスチックの蓋がパカリと開けられて、私は乾パンなどには目もくれず氷砂糖を一つ取り舐める。


 今思えば、祖母の行動は甘い行動だなと思う。


 本当に甘い、甘々だ。まるでサイダーをハチミツで割って、氷砂糖で薄めたみたいに甘々だ。震災のための非常食をそんな風にして食べていたら、もしもの時には対応できない。


 氷砂糖は口がただでさえ渇く非常時に唾液を分泌を促すために入ってる。もちろん、熱量の面でも大事だ。


 私は冷たくなった肌に触れる。防腐処理のそれに触れると、唾液の分泌、熱量など、馬鹿馬鹿しくなる。


 最後に花を入れて、火葬場へ歩く。骨が焼け残り、私はその骨の部位説明を聞く。


「歯がとても綺麗に残っています。生前から歯の健康を大事になされていたのだと思います」


 乾パンが過ぎる。氷砂糖の味を思い出す。


 視界が潤う、邪魔で拭う。出るなら唾液だろう、ほら梅干しみたいにさ。熱が湧き上がる。


 甘かった、本当に。

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