転がった薬瓶
暗い部屋。寝転がる。
小さな画面、そこにはまるで東京スカイツリーから望遠鏡で広い面積が高精度に見えるみたいにはっきりと現実が写されていく。
切り替えど切り替えど、それはどんどんと流れて来て、止められない。自分の頭の中には都市が徐々に浮かび上がってくる。現実の町が、その内情がありありと分かる気がする。
現実を見ているのだから別に良いでは無いか。絶対に向き合わなくてはならないもので、いつかは味わうものだ。無駄な夢を見ているわけでは無い。それと向き合うことは別に悪い事では無い。そう思う。
私は布団から立ち上がると、椅子に座り込んだ。どっかりと重たくなった頭を体と共に預けるように。
『明日、研1◯、2併』と表記してあるメモ。明日のことを前日にメモする習慣をつけたのはいつだったろうか。ただの1人の学士を目指しているだけの人間だ。卒業さえ出来れば良い。
私は外の景色を見る。仄暗く光る夜灯には蛾が何匹も集っている。外は涼しい風が吹く、部屋の熱を平す。
現実は先ほど作り上げた小さな画面の中のものなのだろうか。そう、現実と私が言ったはずだ。
1Kの一室に私は住んでいる。スマホの光に慣れた目はその内部がほとんど見えない。
私は何を見ているのだろう、この部屋の四角の窓ですら、画面よりずっと大きいのに。




