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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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消えない足跡


 雪は一晩中降っていたのに、家の裏には足跡が残っていた。

 玄関から続いているわけでもなく、塀の途中から始まって、物置の前で途切れている。

 母はそれを見つめながら、「まだ帰ってきてるんだね」と小さく笑った。


 人生には不思議なことというのがある。ここまで化学が進歩した中でも神話的な話を否定し切る事はできないというのも不思議な話だ。私はここを化学の懐の広さと認識しているけれど、そんな私が毎年見ている不思議な光景があるのだ。


 猫には魂が9つあるという。


 私の愛猫はよく外に逃げ出してしまう奴だった。外に逃げ出しては夜に帰ってきて、悪びれもせずに晩御飯をせがみ、喉を鳴らす。全く切っても切れないダメな彼氏みたいな奴だった。


 ずっと姿を消す冬があって、ある時見つかったと思ったら、その毛の色が変わった。別の猫だろうとは思うけれど、新しい奴は同じ道を同じ道を辿って家まで来るのである。食べ物をもらえるから来るのだろうとは思うのだけれど、なぜか同じ猫を感じるのである。


 猫は命が9つあるというけれど、私はこの猫に思いを馳せていいのだろうか、重なる形に同じ猫ではない気持ちと否定したい心。向き合うのは残酷だけれど、向き合わないのは残酷である。


 雪の夜。私の見たのはまた新しい色の猫だった。

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