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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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割れた電球


 電球は天井から落ちたのに、部屋の方が壊れた気がした。

 畳の上を転がるそれは、何事もなかったみたいに薄暗い光を灯している。

 私は足元を避けながら、昨日までここにいた彼氏のことを考えないようにした。


 電球は割れている。部屋の方がなどというのは真っ赤な嘘である。私が私に対して吐いている嘘である。でも綺麗だと思ったから嘘でも良いじゃ無いかと思うのだ。


 畳の隙間にガラス片が飛び散る。辺りは暗くスマホの光だけが私の世界を照らす。玄関に向かってスリッパをとってから履く。いつぶりの役目だろうスリッパは白い埃を数年溜め込んでいる。


 電球は地震の揺れで緩んで落ちたらしい。まだまだ現役だったはずだ、LED電球なんだ、クソ野郎。


 予備はあるけれども、それも白い粉々の形の時間を積もらせている。それを見ると発火しはしないかと思う。時間が燃えるなら、寿命は分かりやすいのに。


 落語の世界でしかそんな事は起きないらしい。そもそも蝋燭だし、1日の使用時間が限られたLED電球なら私より長生きしてしまうだろう。そんな尺度の光が手頃な値段で買えるとは面白い。時間を買えるみたいだ。


 私の時間はどこへ行ったのだろう。売ったつもりはないけれど、捨てたつもりもないのに。


 天井にあるソケットに手が届かない。電球は手の中にある。私は光続けているのだろうか、電球は光らない。私はそっと椅子を取り出すと、そこに座る。どっかりと窓から入る月の光に気がつく。

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