閉じなかった日記帳
日記帳を閉じようとすると、挟まりを感じた。小学生みたいなんて言われた交換日記ももう3年になった。始まりの時の様に、毎日交換するするわけで無くなったそれは、今私の番で止まっている。
引き出しから引っ張り出したそれは他の本類に押しつぶされることもなく、その時のままの形を保っている様に見える。
読むのはちょっと、気が引ける。左手の薬指に指輪もなければ、LINEの友達にも彼の名前はない。だから、私にそれを読む義理はもう無い。
当時の時間を切り取った様にそれは私の机に乗る。部屋の片付け中だったから、開けていた窓から柔らかい風が吹く。日記帳はパラパラとどこかのページを開ける。
閉じる。私の目にゴミ箱が映ったが首は別の方向へと向く。忙しい、部屋の片付け中なんです。日記の一つに時間なんてかけさせないで欲しい。心の中で言葉を作る。
また風が吹いた。パラパラと日記帳は小粋な音を鳴らす。同じページでまた止まる。
見ない、見たく無い、心に言い聞かせる。跡が残るページ。私では無い。彼が残した跡。
開かれたページに自分の若い筆跡が少し見える。ちゃんと内容は見ない。私は閉じる。
ゴミ箱を見る。見てから、日記帳を別の本の下敷きにした。
思い出よ、平されてくれと願い。




