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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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裂けた制服


 何故裂く必要があったのだろう。そこまでをしなければいけない理由がそこなあっだろうか。


 学生用制服、それは大人から見れば過去のものでしかないが。


「そんな風なところにお金を使うなよ。俺、家に帰るつもりないし、今更借地から私有地になったところで意味ねぇよ」

 そうな風に我が子に言われた時、私の頭には失敗したのかもしれないという思いが過った。息子はもうすぐアラサーで、結婚し独り立ちもしている。金銭面に関しても特に問題はないだろう。けれど、息子は異常なまでにお金に固執している。


 将来への投資、将来への積み立て。それに対する紹介、勧誘。私はそれに対して異様な宗教勧誘の姿を思う。


 私は旦那と共に借地と共にこの住み慣れた家を買いきった。長い時間の買い物だったけれど、この生活を自分のものにしたかったし、築30年の家はまだまだ住むのに不自由ないほどに綺麗だった。その支払いを終えたことを息子に伝えた。


 息子は私を透かして何を見ているのだろうか。その奥にある金銭を見ているのだろうか。金銭とはそれほどまでに偉大だろうか。


 私は以前彼が実家の整理に来た時に破り捨てた制服を取り出す。捨てるのか聞いた時に捨てると言われた。私も本人が言うならまぁ良いかと思ったが、ただ袋に入れれば良いものを彼は裁断鋏でビリビリに裂き始めたのだ。


 私は止めてしまった。そして、それがまだ手元にある。


 私は制服を持ち上げる。そこに過去を縫い付ける。下げると、現在が私を透かす。


 若造め、これも私がお前に買ったものだ。そう心の中で言って、衣装ケースに制服と共に仕舞い込む。


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