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約500文字の毎日  作者: 端役 あるく


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止まった腕時計


 針が止まる。普通ならば、明日電池換えに時計屋にでも行けばいいかと思うだろう。僕だって思う。思わない様な状況では無いから困っている。


 四角いガラス張りの一室。僕は資格試験を受けにあるビルに来ていた。午前から始まっていて、今は午後の3科目に差し掛かる。この後にまだ2科目続いている状況。全くもってその動かなくなった針を見つめる。


 室内には用意された時計なく。今の時間を測ることが出来るものはない。止まってからは約2分が経ったか、この時間は残り25分で終わる。科目の間にビルを降りて、腕時計を買いに行くことはできる。だから気にしなければいけないのはこの25分間。


 何で測る。何があれば時間が分かるだろうか。これは問題だ。プロブレムでありクエスチョンだ。僕はこの問題を解かなければ、先に進めない。


 何があるだろうか。まず思いついたのは日時計だ。ビルの一室だから向かいの商業ビルも見える。もちろん、この中の時計などは見えないが客が上に下にエレベーターで運ばれているのは見える程度。影は見える。ただ、角度が計算出来ない。判断が難しかろう。であれば、脈拍か。1秒に一拍とよく言われる。手首に手を当てる。だめだ。あまりにも緊張していて拍動が常軌を逸している。こんな1秒では1日がすぐに終わる。


 何かないだろうか。この窮地を変える。確実に同スピードで動き、結果的に時間を測れるもの。ありとあらゆるものに目を動かし、確認する。前の人の動きから、監督官の足の癖など、全ての動きを。


 そして僕は気がついた。確実に間違いがなく変わることのない動きのスピード。


 僕は時間を手に入れた。答えを書き連ねる。答えはビルの中にある。エレベーターだ。エレベーターは確実に人を同スピードで動かす。乗った人間が1番上に行くまでに約20秒、見える範囲の階で人が途切れる事はない。


 僕は問題を解いた。答えを書く。


 今の時間は試験開始から140分、あまり10分。筆記。


 試験は終わった。僕は落ちた。何を書いていたのか。

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