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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ

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第35部 家具職人の派遣 ライ麦の輸出 第五・第六便

           

 1242年6月16日 ポーランド・トチェフ



*)ライ麦の輸出 第五・第六便


 今日の昼にはボブが帰ってくる。今回から帰りの便が暫くは空荷である。船賃は契約通りに支払うから、かなり損のように思える。農機具の次は、鉄材とレンガを購入する予定だった。資材が入らないと村の建設がはかどらない。


 買ってきたボブはオレグを探すが見つからない。ソフィアとリリーにオレグの行先を尋ねた。


「オレグは水車小屋で寝ずに仕事をしていると思うけれども?」


「おう、ここでくたばっていたぜ。嬢ちゃん、探させて申し訳なかったな。」

「良かった、まだ死んではいないわ! ボブ、起こして働かせてようだい。」

「おうよ、直ぐに馬車馬に仕上げるからさ。でも、嬢ちゃん、旦那は可愛がってやりなよ。出来ないのかい?」


「ボブ、ナイス・ホロー!」


 オレグは寝たふりして三人の会話を聞いていた。


「なによ、フン!」


 ソフィアは鼻でボブの意見を否定した。


 リリーは前々日にネズミ除けの、キキ仕込みの魔法をかけていた。今はその魔法の効果の確認をしている。どこにも食害された跡は見つからなかった。


 キキのネズミ除けの魔法とは? なんでも、ネズミが近づくと猫の鳴き声が聞こえるという、不思議なまやかしの魔法だった。



 オレグが起きてきて作業が始まる。オレグはリリーを見つめる。


「リリーさん、リリーさん。今日もお綺麗ですね。」


 今回も三千袋のライ麦が瞬時に積み込みされた。


「ボブ、終わったぜ。さぁ、出航してくれ。明日の朝一番に下して戻ってこいよ。」

「ざけんな! 明日の朝にしか出航しないよ。」

「そうか、悪いな。なら今晩もお世話になるよ。」

「あ、いや、まて。気が変わった。すぐに出航する。また明日な、したっけ!」


 ボブは急いで船を出した。


「おう、母ちゃんと息子によろしくな~!」


 ボブ! いざ、家族の元へ!!!


「オレグ、あんたは、優しいの? それとも悪魔かしら!」

「いいじゃないか、喜んで出て行っただろう? 心配すんなって。」

「それならいいけれども。」


 ソフィアは怪訝そうな顔つきで言う。


「おう、今帰ったぜ!」

「あんた、お帰り~」

「キャッハ~、バブ~、ボブ~」

「おうおう、俺の可愛いぼうず、元気だったか~!」

「キャッハ~、バブ~、ボブ~」

「今日は、あんたが帰って来たから、ご機嫌だね~」




*)家具職人の派遣、オスカル、ヘンリク


 この二人には、エリアスの館の家具の制作を優先させる。グラマリナさまの家具が無いから至急に作る必要があった。館は大きくない。家主が男だから何も不都合が無かった。箪笥やテーブル等が白樺の木材できれいに作られていく。


 エリアスは、大理石でテーブルを作る事を提案したが、費用が高くなるのでグラマリナは遠慮したのだった。グラマリナは多くの家具は要求しなかった。



 グラマリナは、オスカルに仕事の優先順位を指示した。それを聞いたオスカルはやや驚いた。


「オスカルさん、ヘンリクさんと二人で次の仕事をして欲しいのですが、よろしいかしら。」

「はい、分りました。オレグさんには私からお伝えいたします。」


「そうして下さい。次の仕事は、そのオレグさんの家の家具をお願いしますわ。オレグさんとソフィア、リリーさんは、村の人優先でご自分の家の事は後回しにされてありましたの。昨日訪問して驚きましたわ。もう、私こそ後回しにする必要があるのに、お部屋に入りまして愕然といたしました。」


「それで何かありましたんですかい?」

「ええ、そうよ。荷馬車がありましたわ! ここがソフィアとリリーのベッドと聞いて、わたくしは非常に恥ずかしい思いをいたしました。」


「そうですか、では荷馬車でゆりかごを作りましょう。もう、お子さんが出来てもいい頃でしょう?」

「それは無理ですね。オレグさんはシカとされていますので、当分は子供さんは出てきません。」

「はぁ、さようで。私らはすぐに取り掛かれせて頂きます。断られましたら、グラマリナさまから弁護をお願いします。」

「はい、承知いたしました。」


 オスカルは本当に荷馬車をベッドへ作り変えてしまった。


「ソフィアさま、私も初めて作りました、移動できるベッドでございます。」


 分解しないと外へは出せない荷馬車、アフターがとても素晴らしかった。


「でも、赤ちゃんはまだまだですわ。・・・・ ま~恥ずかしい!」


 荷馬車は、母娘おやこ用に作られていた。????? これを見たオレグは、荷馬車が無くなったと騒いでいた。


「くそ~高い荷馬車だったのに、悔しい。」



 次は、リリーとオレグのベッド。箪笥や小物入れ、窓には小さい植木鉢を置く棚。食卓と椅子、書棚、食器棚など。この頃の食器は板と硬いパン。本当に器が無かったのかと思いますね。


 石工のシモンとマシュにも来てもらった。家の間取りはリリーが作ったから問題は無い。後は防火用の壁と洗面台になるだろうか。この頃のお風呂は??です。


「グラマリナさま、ご配慮をありがとうございました。二人はとても喜んでおります。」


 オレグはグラマリナにお礼を言う。女二人は文句こそ言わなかったが、ず~っと機嫌が、あまり良くは無かったのだ。


 ソフィアとリリーは、家具職人へ矢継早に注文を出していた。北欧家具の完成だ。


「オレグさま、これくらいでよろしいでしょうか。」

「おう、十分だよ。ありがとうな。」


 オレグが見ても、他の住宅とは質と実用性ははるかに良かった。


「ま、いいか!」

「オレグ、あんた、バカでしょう。費用はオレグが払うのよ? 他よりも十倍良く出来ていても、いいのでしょう?」

「あ、そうか。費用は俺持ちだよな。グラマリナさんにお礼を言って損はないが少し引っかかるな!」




*)長屋の家具



 次は長屋の台所の椅子とテーブルだ。なにせ130戸分ととても多い。またベッドも必要だ。人数分は? 最低でも二つは欲しい。箪笥や窓に作る物置の棚やカーテンの横木。


「オレグさん、俺一人では出来ませんぜ。この長屋の百三十戸分でしょう?」

「ああ、そうだが、順次の制作でいいですよ。とても1年では作れませんから。第一に、入居者募集の広告は出していますが、来る人がいるかが不明です。」


「オレグさん、あんたはバカかね。入居者も居ないのに長屋を作って。バブルの時代ではないんでしょう?」

「すみません。この村には三百人くらいの人口を増やしたいのもですから。ついつい力が入ってしまいました。」

「どうして一気に作っちまったんだか。やっぱり、おかしいですぜ。」

「はい、すみません。」


 こうして、家具の制作は遅々として出来なかった。


「あんたが板の制作をさぼるからでしょう。もっと働きなさい。」


 オレグは出来たベッドで寝ることが出来なかった。


「今日も夜勤か! もう疲れたぜ。」




*)港にも臨時厩舎の建設を?



 とある日。


「おう、オスカル、ヘンリク。すまないが今日から長屋のかまどの改修を行う。二人にはまだかまどの無い長屋から家具の設置を頼むぞ!」

「はい、さようで。あっしらのお手伝いは無用でやんすか?」


「そうだな、かまどの改修が済んだ所を優先してくれ。その方が長屋の完成が少しでも早くなるよ。」

「ええ、そういたします。」



 とある日。オレグが二人の所に来て無理難題を言うのであるが、


「なぁオスカル。港の空き地にさ、牛や馬の保管の為の小屋を造れないだろうか。柵と間仕切りだけでいいのだが、どうだろう。」


「ええ、作る事は出来ますでしょうが、酪農のレオンとマルチンも呼んで下さいな。指示が無いと強度でも高さでも俺らには分かりませんですぜ。」

「そうだよな。レオン、マルチンの二人と、農民を四人用意するよ。期日は、そうだな・・・・・・十日後くらいには欲しいよ。な? 頼んだぜ。」


 レオン、マルチンは、オレグの目的を知ってか、にやにやしながらオレグの話を聞いていた。


「旦那! 一度には無理ですが、半分とかに仕切って作業すれば、五日後からはもう受け入れが出来ますぜ!」


「おう、もうお前らは優秀で助かるよ。港の端っこがいいかな。」

「はい、了解いたしました。」



 この簡易の厩舎か檻が完成すれば、地方の逃げた馬がリリーのゲートで捕獲ができる。いっそのこと、農民も捕獲出来たらいいと思うオレグだった。


 造り上げたらボブの船に、ゲート転送とかをしなくて良くなる。金も掛からなくなるというものだ。またしてもオレグの鼻の下が伸びてきた。


「ねぇ、オレグ。この檻を牧場に作ればいいねは?」

「出来ないよ、ゲート魔法がばれると困るもん。」

「そう~だよね。困るね。」


 オレグは、将来も何らかの利用価値が出るだろうと思っている。馬を一頭つれてくればここの費用は安いものだ。オレグはルンルンになった。


 オレグの意に反して、女の二人は?


「今度こそオレグには、いつものお礼をしなくてはね!」

「リリー、何かいい方法が思いついたのかしら。」

「うん、そうよ、お姉さま。とってもいい方法ね!」

「ええ? 何なに、なんなの?」

「この檻の中にさ、オレグを転送させるの。出れなくてきっと泣くよね。」

「そっか、檻から出す条件にはさ、私たち姉妹の地位向上を要求するの。」

「そ、それいい! もう最高だわ。早く出来ないかな~」

「そうね、出来たら速攻で放り込むね?!?」



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