第31部 石工の派遣 ライ麦の輸出 第二便
1242年5月20日 ポーランド・トチェフ
*)ライ麦の輸出 第二便
ライ麦の輸出の第二便も、マルボルクのライ麦から輸出する。今回も積載するライ麦は2,500袋だ。エルブロやユゼフの都合もあるだろうし、オレグは優先させる事にする。
「ソフィア、初めての長期出張ご苦労だった。マルボルクのライ麦は何袋だったかな。」
「うん、去年が一万袋だったよね。今年は、お祝儀だったようよ。二万袋だよ。!! に・ま・ん・た・い。」
オレグは直ぐに計算を始めた。ライ麦が一袋で百五十クローネだから、金貨で三百枚になる。(金貨一枚で十万とみて、30,000,000円か)
「すまないがボブ。運搬は過積載で頼む。今の流行だよね。だから、四千袋だな。」
「おう、兄ちゃん。三千袋が限度だぜ。四千袋も積んだら座礁して沈没するぜ。」
「どこかの国は、売れないからと自国の自動車ごと船を沈めたらしいぜ。それ位の覚悟で輸送してくれよ。」
「あの国は保険金詐欺だったのだろう? 俺の荷物は保険を掛けてはいないぜ。」
「おう、そうだな。沈没したら俺も困る。三千袋を五往復と二千五百袋を一回だな。ちょうど割り切れたよ。」
ボブには昨年、四往復で金貨・十六枚の支払いだった。今年は、七往復だから金貨で二十八枚になる。
「おう、兄ちゃん。今年は息子が生まれたよ、祝儀価格で金貨・三十二枚だ。」
「いいぜ、三十五枚を払うよ。な? いいだろう、馬車馬のように働け!」
人足を一人雇っていた。この一人でゴットランドの往復が、一日も縮まるというからばかにはできない。オレグも喜んだ。
ゴッドランド島のマクシムにはライ麦を一万袋を、昨年は金貨三百二十枚で販売が出来たから、今年は少し値上げして、倍の七百五十枚になった。マクシムはそれでもいいという。その心は、自前の船だからだ。一気に一万二千袋が積載できると言っていた。それを考えるとやはり大きい船になる。
750-300-35=415。 四百十五枚の金貨が残った。やったね!!?
「マムシは心の中で、オレグさま様と言ってるに違いない。」
オレグの心の中である。マクシムはまだ荷が足りないから、早く持ってこいとも言っていた。恐るべしマクシム。
今年は西ヨーロッパの景気がいいらしい。だから東ヨーロッパのライ麦が高価で売れるらしいのだ。だが、現実は違った。エストニア地方で大きい戦争が始まっていたのだ。五月は開戦間もない、今始まったと言っていい。オレグは、忙しいあまりに情報収集を怠っていた。東のライ麦が戦争で輸送されていない事実を知らなかった。
*)石工の派遣、 シモン、マシュ
石工のシモンには、予定よりも早く来てもらった。鍛冶場の溶鉱炉の建設の必要があったためだ。それが終われば二人には、港の石積みや井戸の石積みを点検と改修を依頼した。
「オレグさん。石積みは大丈夫でさ。水車小屋は、小屋の改造が終わって、少し手直しすればいいですぜ。」
「ああ、そうだろうな。もう作っちまったから、悪くても手直しができないものな。」
「まぁ、そうでしょうが、壁にもう一つの壁を作ります。」
「いや、石が少ないから、それは止めてくれないか。第二、台三の水車小屋を建ててからにしてくれ。たぶん、その時はお前さんらは居ないだろうがな。」
「では、レンガと石でかまど兼暖炉を各戸に作って行きます。早く三人の見習いを寄こしてください。」
「そうだよな。若いのを宛がうよ。」
石工のシモンには、長屋建設その2の基礎の石積みと、かまどの建設に従事してもらう。長屋は全部で13棟の130戸だ。1年で出来る訳がない。
「オレグさん。仕事が有るのは嬉しいが、石やレンガがないと仕事ができませんでさ。今の材料では五十戸程度しかできんでしょう。」
「ああ、分っている。順次補給するよ。」
「それと、オレグさん。言い難いですが、石工の作業場な無いのでっか?」
「?・・・?・・、ああ、無いな。取敢えず長屋の1軒を使ってくれ。次の機会に作るよ。すまないな~、どこもかしこも穴だらけだな。」
「そうですね、オレグさんの上着も焦げて穴が空いていますぜ!」
「わぉ! 俺の一張羅だぜ。困るよ、直せるかな~。」
マシュがレンガを大量に買って来る。俺は支払いに汲々になった。
「マシュ、今に見ていろ。暖炉でマシュマロに焼いてやる!」
*)水車の改造
「オレグさん。水車の多角利用で改善の加工を、施してもよろしいでしょうか。」
石工のシモンは、どうも朝から俺を探していたらしい。多角改善で利用の用途がたくさん増えるという。
「ですのでオレグさん。石工の作業場はこの水車小屋の横にお願いしたのです。先に改善の付加価値をつけますので、それを見てから判断されてください。」
「おう、分ったよ。壊さないように好きに改造して構わない。」
「助かります。一か月ほどで完成させますわ。また、歯車の製造に鍛冶屋のカミルとレフをお借りします。」
「いいよ、構わない。鍛冶は・・・確か、急ぎの仕事は無かったと思う。」
「ありがてぇ~。序に建築のイェジィさんも、少しですが、よろしいでしょうか?」
「そこはイェジィと話し合ってくれて結構だ。」
「はい、急ぎ作りあげます。」
「おう、よろしくな。」
こうして四人は、第二、第三の動力の確保に向けて作業を始めた。
*)回転砥石の製造
シモンとマシュは、基幹の丸太に歯車を取りつけた。歯のピッチが細かい歯車だ。大きい歯車は回転にむらができる。逆に歯車が小さいと、回転数が多くなり速く回転する。 歯車と主軸の木材を繋いで、回転砥石を作りあげた。
「これでな、刃物の研磨と鉄板と鉄棒の切断ができるんだぜ。カミルのおかげで俺の作業が楽になったよ。」
「おう、シモンさんよ。この回転を利用してふいごが自動で使えるよには出来ないかな。」
「今度考えてみるよ。出来ないことはないだろう。ふいごから作るはめになるだろうがな。ま、期待しないで待っててくれ。」
「よろしく頼むよ。」
「カミルさん。もう一つお願いがあるんだが。」
「なんだい?」
「鋼板で丸いのこぎりが作れないか。この回転砥石と交換できるような作りで。」
「出来るよ。でも時間がかかるから、これは大変だね。」
「何を切るんだい?」
「俺の扱う石さ! 石灰岩だから柔らかいから、出来るだろう? 今ののこぎりを丸くすればいいだけだよ。」
「おい、レフ。なんとか出来そうか。」
「外にある木材の切断のノコと同じだよ。出来るよ。」
「ほぇ~?!」
「なんだい、外にあるのが見えなかったのだね。ま、小屋の改造もあったので接続を外してあったからね。見落としたんだろうよ。」
鍛冶屋のカミルは、木材の切断用丸鋸を組み立ててみる。
「おう、これは良く出来ているわ~、すごいですな~。」
「これは早く第二の水車を作る必要がありますわい。」
*)水車の動力で木材を丸く加工する
家具職人のオスカルとヘンリクが見学に来た。
「シモンさん、この回る砥石はあんさんが考えて作ったのですかい?」
「やぁ、オスカルさん。仕事は順調かい? 暇なら手伝ってくれよ。」
シモンとオスカルの二人が会話を続けているが、家具職人のヘンリクは黙って石工のシモンの仕事を見ていた。石材がきれいに研磨されている。
「シモンさん。それと同じものをもう一つ作れないかい。俺も使ってみたいよ。家具の足を丸く出来るよな。」
「あぁ、出来るぜ。ただし、みんなして使えば、力は弱くなるよ。それか、時間を決めて作業するかだな。」
「うん、弱くてもいいや。ぜひ欲しいよ。よろしく頼む。」
「鍛冶屋のカミルさんとレフさん。すまないがまた同じ歯車を作ってくれないか。今度は、家具職人のヘンリクさんも欲しいと言っているんだ。」
「あいよ、近いうちに何とか作っておくよ。これで貸し借りは無しだな。」
「おう、それでいいよ。」
切断砥石が出来た。これで石の研磨と切断が楽に出来る。家具の制作では、椅子の足を四角から丸へと、きれいな形に作れる。また、鋼板も切断、研磨も出来るようになった。こうなると、それぞれの職に一軒の水車小屋が必要になる。
トチェフ村の領主、エリアスとグラマリナ。従者のデーヴィッド。メイドのエルザ。
オレグ、ソフィア、リリー。船乗りのボブ。
ビスワ川




