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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第五章 次の戦いの足音……

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第254部 オレグさま……べっぴんさんが多いのですね!


 1300年1月4日 バルト海・ゴットランド島 


*)俺の嫁は最高……!


「ゾフィ、ステラ。街の教会へ寄付に行く。」

「また買い物かよ。オレグも好きだよな。」

「なに慈善事業と、言って貰いたい。」

「私一人では……足りませんか?」

「……?」


 ステラからしてみれば俺は初夜を共にした位の時間の共有なのだから、俺の意図する考えなど分かりはしない。だがゾフィは違う。百五十年もの隔たりがあっても今も昔も同じ俺なのだから。


「お前たち、俺の意図が分かるようだな。」

「また魔力持ちの女を買うんだろう?」

「え”~私の身体ではつまらなかったのですね?……GYWA~~~///」


 魔女の悲痛な叫び声に俺は度肝を抜かれた。昨晩の夜のまぐわいが俺の頭にそう……馬と寝ていた映像として浮かんできたのだ。


「ステラ。お前は馬だったのか!」

「武漢で研究室に飼われていました。」

「うぎゃ~!!」


 と言って俺は逃げ出した。


「プリティダービーには負けませんわ~!」


 山道を転げるようにして薔薇の都・ヴィスビューの街に着いた。ここにはあのパブが在った処だと思い出した。百六十年も過ぎたと言うのに当時の面影が残っている。表からパブを覗けば大きな腹を揺すって出てくる女将と大きな胸を揺すって出てきた若女将。顔つきは二人とも腹黒いように見てとれた。


「おやご旅行かい?」

「あぁそうだな。もう肉とパンは食えるか?」

「いつでも大丈夫さ、気の……ご~ッホッホ。朝一に仕込んだ肉と焼き上げたパンがあります。」

「オレグ、ここはやめておきなよ。昔のままだという評判さ。」


 俺はゾフィを草むらに連れていって言うことがいいのだ。


「いいさ、また食い逃げが出来る。」

「そうだな、今回はステラの魔法で飛んで逃げる事が出来る。」

「わ、私はご主人様について行きます!」


 付いていくと言うのだ空を飛べるとは言っていない。


 かくして歴史は繰り返される。二人してたくさんの昨日の残り物をてんこ盛りに出してくる。俺としては久しぶりの肉料理だから、ワイン片手に食らえば旨いと感じる脳みそにより涙さえ流れてきた。


 アメリカ産の成長ホルモンを加えて育てられた豚の肉。女が食べれば胸が背が大きくなるとの巷の評判だ。なににせよ豚肉の煮込みなのだから翌日の方が旨いに決まっている。


「ぶり大根も頼む。」

「あいよ、これ家の自慢料理なんだよ。昨年のブリを冷凍してさ保存しておいたんだよ。」


 昨年とは先月の三十日位かと思って口に入れたら筋ばかり……。三年前だと思われた。大根だけは柔らかくてなんぼでも口に運ぶ事ができた。


 あぜ道に種を蒔いて育てた大根だ、費用が掛からないので女将の笑顔が最高潮に達した。このように考えたらブリだって捨てられていた物が干からびて在ったとか? 猫も食わない「猫跨ぎ。」


 暫くしてからゾフィが教えてくれた。


「もう坂の下まで来たようだぜ。何処に逃げる?」

「ステラ、空に運んでくれ!」

「あら、いいのかしら。プリティダービーの続きをしてよ!?」


 ステラは後ろを向いて俺を後ろ足で一撃だった。良く飛んだと悦に入るゾフィなのだ。ゾフィは妖精の姿に戻り二階の窓から外に出た。ステラはそのまま馬に変身したまま表から逃げていった。


 俺は待たしてもイヤな寒中水泳を行うのだが、海に落ちた時点で足に絡まる? ロープを引きずって港に上がった。


「ゾフィ、これをステラの腰に巻いて曳かせろ。」

「あいよ、俺はミラージュ魔法で応援だね。」

「俺は貴族服を売って人足の服に着替えてくる。」

「いいぜ、任せておけ。」


 そう言うゾフィは頼りになる。俺が戻ってきたら……銀マルクの入った箱が一つ置いてあった。


「この前よりも多いかな。」

「そうだね、十倍ってところか。良かったな。」


 ステラは家から持ち出したランネバラの銀貨を懐の奥深くに仕舞った。異様に膨らんだ尻が出来ていた。


「早く船を買って逃げ出すよ。」

「旦那、船ですかい。あの船が俺のだが買うのかい?」

「お前、出直せ!」

「旦那、冷たいですぜ。」


 そういう男の背中には「何でも屋……ボブ!」と書かれてあった。この男に付き合うと殺されてしまう。


 俺をここに連れて来た海賊船を見つけた。これを奪う事に決めた。


「海賊が襲われることも、多々は無いだろうがたまにはあるさ。」

「オレグ、これが欲しいの?」

「あぁ仕返し序でに貰っておく。シュバイン、プ!……やれ。」


 ステラの魔法で突風が起きて船は流されていく。勿論ゾフィはミラージュ魔法で姿を消して船のロープを外している。流される船。これをどうやって追いかけるのかそれが問題だ。


「オレグ、これで問題解決だぜ!」


 と笑いながらゾフィが言うのだが、俺の気づかない内にロープを足に結んでいたゾフィ。ケケケと笑いながら俺に二度目の寒中水泳をさせるところは、昔の性格そのままだ。こいつは俺に追い打ちをかける天災でも? あるのだから。


 船に上がった俺が最初に気づいた事が、


「美女を買うのを忘れた!」

「いいでしょう?……私が居ますから。」

「そうだぜ、オレグ。」

「ステラ、魔力で船をグダニスクまで着けろ、ゾフィはまた魔力タンクな!」

「ギャビ~~!!」X2

「おうおうおう、も~最高の嫁だぜ!」


 俺は船倉に在った虚仮威し? 的な服を見つけて着込んでみる。これが中々に堂に入った出で立ち……だとステラに褒められる。


「私が着せるのだから、もう何処から見ても本物よ!」

「ケケッ、面で良く見えるだけだよ、こいつは厳つい顔だしな!」

「おぉ……そうかぁ?……エヘヘ。」

「オレグ、マストに登って陸地を探してこいよ。」

「いや~それは流石にまだ見えないだろう……。」

(ふん、チョロい男だ!)


 とはゾフィの心中。ステラは早く俺の娘を身ごもりたいだのとほざいているのが気にくわない。人狼であれば巫女、この女が産めば、魔女……あ~イヤだ。


 翌日から俺は本当にマストに登る羽目になっていた。この魔女が使えない。直ぐに疲れて休憩だ~と言う始末だ。最初は俺も特段不都合だとも考えていなかったのが悪い。船は風にも流されて気の向くままに進んでいく。そんなだから俺が方向を示してやる必要が出てきたのだ。俺は昨日のゾフィの一言に縛られ

ていたのだろう。マストに登る……。チョロい男だった。偵察ならば空を飛べるゾフィが最適だとは考えも及ばなかったのだから。


「オレグ、方向はよろしいのでしょうか?」

「あぁ大丈夫だ。懐かしい干し藁の臭いが流れている。」

「オレグ、干し草に焼き肉を置いているから食べろ!」


 昼飯に下りた俺にゾフィが干し草の上に焼いた肉を置いていた。どうして干し草の上なんだ、とゾフィに訊いてはみるが、答えは返ってこない。おまけで出てきたのが、な、なんと、ワインの水割りだった。痛んだ保存の水をアルコール分の高いワインで消毒して……飲むのだ。確かに利に敵った飲み物だ。


「オレグ、理に適ったですわ。もうお酒に酔って間違えていますか?」

「ヘッ、そないなこと、読者に訊け、俺は知らん!」


 俺はハンザ商人だから利益の利にしか興味がないし、同業は敵だ! だから、


「俺の文字に間違いはない。」

「あらあらそうですわね、これは失礼いたしました。オレグには敵いません。」

「オレグ、言葉遊びも大概にしておけ。これでは誤字報告は望めないだろうが!」

「ほ~……俺は盛んに誤字の報告をしているが、俺には一字しかなかったぞ!」

「あ~??? あれだな、リリーがリりーになってたやつか。」

「そうだったかもう忘れた。このPCが悪い。この前、システムの何とかをしたらそのまま動かなくなってな、最後は電源切って復旧出来ずに、とうとうリカバリーをしてしまった。」

「それでオレグのPCが同じようにバカになっちまたんだな。」

「同じではない。俺は……頭はいいんだ。」

「俺もいいと思うぞ。(どうでも……いい……? と。)」



 投稿サイトの小説は無料でいいのだが、誤字で読むリズムが中断されるので困る性格なのだ。今日で例えたら、静聴と清聴。語り部が言うせいちょうとは、どちらの漢字を使うのか。吟遊詩人が詩を聴かせる前に言っていた。


「みなさま、ご清聴の程を……」


 こうなると先に進めなくなってしまうのだ。一人の人物が涙を流して、他の者は吟遊詩人を囃し立てている。物語の流れから判断しても、


「みなさま、ご清聴ありがとうございました。」

「みなさま、ご静聴をお願いします。」


「みなさま、ご静聴の程を……」だろうか。これは違うぞ! いうご意見があればお願いします。誤字が多すぎて読むのを辞めた作品が二つ。大して読みもしない私なのですが二つありました。文庫本には「誤字が多すぎ」とメールしたりと。


 PCには学習能力があるらしい。文字を書いておればご主人様の意を汲んだ変換をしてくれるようになる。いやいや頻度で判断しているとしたら違うか。


 閑話終了~~!


「オレグ。私、グダグダという男は嫌いです。」


 とステラが言うのでもうグダニスクに着いてしまった。




*)グダニスク……


 ステラの風魔法により、ヴィスビューを出航してから七日で俺の第三の故郷に着いたのだが、もう目を見張る程に発展していた。ハトムギ……いやいやライ麦の輸出で大いに発展したハンザ都市。俺が開拓したビスワ川を経由して黄金の穀倉地帯のライ麦を一手に運んだからだ。及び、ビスワ川沿いの穀倉地帯の開拓にも大いに貢献したのだから当然か。俺が価値を高めてやった琥珀も西側諸国へ大いに輸出されてもいたのだから。


「これだけ発展したら、俺のつけいる処が無いぞ~!」


 俺が奪ってきたヴァイキングの船。積み荷が無い。ワインと水と黒パン。べーコンくらいだろうか。もっとも、俺に隠れてゾフィが食べていたとしたら別だが。それに港に停泊している多大な船に驚いていた。


「オレグさま、」


 ステラが俺にさまをつけて名前を呼び出した。きっとゾフィが俺を呼び捨てにするから、判るようにとの判断だろう。馬娘もしおらしい処があるものだとつい嬉しくなった。ま~早く言えばバカなのだ!(海に落ちますよ!)が続いた。



 俺は船の渡し板を歩いて降りる。勿論船からだ。ユラユラ揺れる薄い板に足元を見ながら降りたために港の人の顔を見ていない。船からは森を見て木を見ていなかったのだ。どこからともなく聞こえてくる感嘆詞の言葉、


「ぉぉ~~……。」


 小声でぉ~と口ごもる程度の声なのだが、多くの口から漏れて聞こえるからか、小声も大声のように響いて聞こえる。俺は港の石の上に立って初めて人の顔に目を向ける。


 多くの目が地下検断じげけんだんのように思えた。俺はこの出で立ちに検めてみた。



「俺はヴァイキングか!」

「ケケケ、オレグ。公爵さまから随分と格が墜ちたものだな。」

「っるせぇ、黙れ!」

「オレグさま、ここはひとつ、毅然とした態度で臨んで下さい。火の粉は風で飛ばしてさしあげますから。」

「く~俺は転生して、ヴァイキングから始めるのか!」


 俺は予想外の展開に悩むのだった。ゾフィは一抱ひとかかえの木箱を持って俺に付いて来ている。ステラは何処から引っ張って来たのか、知らないうちに貴族のようなひらひらな服に着替えていた。


「俺はハンザ商人だから偉いんだぞ!」


 港の人々はそんな事は知らないしどうでもいいのだ。何の事はない、俺ら三人の服がチグハグな為に注意を引いていただけだ。


「オレグ、そういえば、昔の貴族服の時のようだぜ!」

「あぁ、それならばいいのだが、ヴァイキングを目の敵にされていたら海に落とされていただろうか。」

「オレグさま、先に教会へ参りますか?」

「いいや、真っ先に……。」

「ケッ、またパブで酒かよ。」

「いや造船ギルドにいく。この船を商船へ改造してもらう。最重要事項だ!」

「いいんじゃね~の? このまま暫くヴァイキングしようぜ。」

「あ、それもありか!」

「いいえオレグさま、それはなりませぬ。逆に沈められます。あれらも時期に追いついて来ますので殺されたいのですか!」

「あ、それもありか!」

「……?」

「いいから付いてこい。」


 俺が向かったのはパブだった。この時間だ、ギルドの長も飲んだくれている時間だろうさ。この時間帯で多くの煙を吐き出す建物……パブの料理仕込み開始時間。


「ケッ、ここのメイドは魔力持ちがいねぇ~。」

「オレグさま、そのようですわ。早く探して下さいな。」

「そうだろう、そうだろう。船は疲れるよな~。」

「うっ……、そうですわ。風魔法を二十四時間とかあり得ません。」


 俺はメイドを呼んで酒と料理を注文した。直ぐにワインとグラスが届けられた。酒屋はこうやって酒を飲ませようとするものだ。料理と一緒にはワインを持ってこないものだ。「とりあえず……生!」だ。ステラの皮肉が口を突く。


「オレグさま、このお店……べっぴんさんが多いのですね!」

「イタッ!」

「ケケケ……。」


 俺がメイドに色目を使っているとばかりに考えたステラ。俺のつま先を踏んで注意をそらさせた。そう言えばさっきのメイドがワインのボトルを持ってきて、俺は後追い的に尻を眺めていたのだろう。テーブルには注がれず在るワインボトルを握り締めていた。これではバツが悪いものだ。ステラの催促か思いきや、


「ステラ、呑め!」

「え~イヤです、呑めません。」

「待たせたな、さ~呑め!」

「だから呑めませんが、飲みます。」

「あ?……あぁ、そういうことか。ゾフィ……飲め!」

「いや、もっと呑みたい。もう三本注文してくれよ。」


 呑むとは止めどもなく飲み続ける意味である。片や飲むとは一過性で続く動作を要求しない、その場限りの意味であろう。


 だから酒呑み……となる。


 今日は客がおおいのだろう。若いメイドが五人も働いている。まだ時間は早いと考えた俺が悪かった。俺らを最後にパブは満席らしい。俺はメイドばかりではなく客の女にも注意を向けていた。主に……胸なのだが。


「ステのような娘は居ないな~。」

「あら、今頃気がつきましたか?」

「あぁ昔は気骨……じゃなくて生娘は多かったんだが、これでは本当に教会へ金を包まないといけないな。」


 男に愛想笑いする女と媚びへつらう女には魔力持ちは居ない。ここのメイドは尻を触られても怒りもしないのだから。そうやって触る男の元にはビールが届けられるのが、この店のシステムなのだろうか。


「オレグ、この店のビールは幾分か高いようだ。俺はワインの水割りでいい。」

「ありがとうなゾフィ。安くつきそうだ。」



 やはり貧民で捨てられた娘、どことなく異様な娘は口減らしに回される。この異様な娘こそが魔力持ちは多いだろうと改めて考えていた。


 だが……現実には、否!


 同じくゾフィにより勘定書きの数字が一桁多い。


「俺に金貨を出させるとは~良い度胸しているじゃないか、なぁゾフィ?」


 もうすぐ暮れようとしているグダニスクの街。酔っ払いの二人に閉口するステラは、独り宿屋に逃げ込んでいた。俺らはオートモードで船に帰っていてあっさりと、ご用!? となる。


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