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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第五章 次の戦いの足音……

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第253部 んなバカな!……出会って三分……俺の嫁!


 1300年1月3日 バルト海・ゴットランド島 


*)出会って……三分……俺の嫁!


「あら~お母様……ご機嫌よう……。お父様? やっとくたばりましたか。」

「何処の猫の骨かと思いましたら、ステラではありませんか。お前も火刑では死ねないようですね。今回は何処で火あぶりに?」

「はい、ポーランドのトチェフという、今では飛ぶ鳥も落として食らうという田舎の街です。」


「なに?……トチェフ?」

「はい、あそこの領主が魔女の家系らしくて、仕事を貰いに行ったのですが、その、見事に返り討ちに遭いました。」

「お前、泥棒でもしたのか!」

「いや、コーパルがたくさん秘蔵されていると、小耳に挟みまして、それで。」

「あの城は俺が造った。賊は返り討ちになるような造りだ。」

「あ~それででしたか。あの憎たらしい領袖が何だかそのような事を言っていました。まぁ~……でしたらご教授をお願いします。」


 俺は嫌気が差してモンゴリラの慰霊碑の前の祭壇から降りようとしたんだが、左手の小指が痛くて立ち止まる。


「いや~嬉しい!! カジラスさまは、私の夫でございました!」


 ステラは自分の左手を前に出して喜んでいた。その左手の小指には赤い糸が俺の小指に繋がっていたのだ。



「ランネバラさま、この出来事はなんでしょうか。」

「猫耳、今日は祝言だね!」」

「はい、1440年1月3日でございます、おめでたいです。」

「カジラス、私の娘をめちょって貰います!」

「めちょる?……?」

「あ、あぁ、娶るでございました。拒否権はございません。この山から生きて下りたいのでしたら娘を娶って頂きます。」

「拒否したら?」

「先ほど申しました、一生を私の魔力源になって頂きます。」

「分かった貰おう。ただし少し金をくれないか。無一文なんだ。」

「んまぁ……ステラ、お前が出しなさい。」

「お母様……科刑台に乗せられたのですよ? んな物は身ぐるみ剥がされて戻りましたわ、お母様……。」


 ステラが落ちてきて三分だった。俺は変なおばさんがくれた銀貨百枚でこの女を嫁に貰った。明日にはバルト海に沈めればいいだけだ。


 煤けた女は服がそれこそ上と下の眼福もの、欲しいとは思わなかったのだが。な、何と湯浴みですっかり綺麗になったこれは……ソフィアにキュウリ二つ……。ズッキーニなのかもしれないが瓜二つ……似ている。だが俺は押し黙る事にする。



*)お前……ソフィアなのか!


 今宵の宴会はとても豪華な……ランネバラの衣装だった。出された夕飯は蕪の煮付けに蕪の刺身、蕪の塩焼きに蕪の丸蕪り……? とてもではないが辞退して良かったと思う。後ほど俺は猫耳女を襲って魚を奪って食べた。


「ご主人様、今宵は初夜でございます。」

「少し待て!」

「はい?」


 俺は外で警護をしていた猫耳女を連れ込んでステラの横に置いて逃げる。


 すると、


「ひで~ぜ兄貴。」

「誰だ?」


 と誰何すいかしたら、ゾフィだった。


「お前、猫……耳?」

「そうだよ、だから魚をやっただろうが。俺の唯一の食い物をよ。」

「あぁ、ありがとう。でも~女装が良く似合うな~ゾフィ。」


 ケケケ……と笑う俺にゾフィは、


「ケッ、ほっとけバカ。それよりオレグの名前は使わないのかよ。」

「それがよ、樽から助けられたんだが、あのヴァイキングには、未だに英雄扱いに語られていたからよ、もしかしてまずいかもと思っただけだ。俺が金を握れば直ぐに返り咲く。オレグに戻れる。」


「あのバカ女が貯め込んだ金をやるから直ぐに出て行け。ステラは貰って損は無いと思う。献身的で魔法も上手く使えるはずさ。」

「ゾフィはどうする?」

「俺はここでリリーが産まれるのを待っている。もうすぐだとは思ってよ。」


「そうか、リリーも転生するのか。処であの後だが、ソフィアは死んだのか?」

「いいや、あれは人狼だ。何処かで生きているさ。もうシワシワのババァだろうて、な?」

「そうか、では第二の故郷のトチェフへ行ってみるか。」

「金を返して貰う? とか?」

「それもいいな。俺の財産はごまんと残っているよな。」

「あ~ドイツ騎士団が持っていったぜ。今ではグダニスクの本部の金庫だ。それでも奪いに行くのかよ。」

「ソフィアが居ればいいのか?」

「出来たら……俺も。」


「だったらリリーは後回しで、どうだい。」

「そうだな、そうしようか。」




*)新たな旅立ち……リインカーネーション



 俺は酒に酔って寝ているドラゴンのランネバラを丁寧にロープでがんじがらめにしてやった。勿論ワイヤーロープだ。麻紐だとあいつの吐息で直ぐに燃えてしまうからだ。な~に百年は飲まず食わずででも死にはしない。序でに旦那の前に慰霊碑を造っておいてもいいよな。


「祝祷はいいのかよ。」

「追い剥ぎは身ぐるみを剥がすまで。娘と蓄財を持ち逃げするんだ、俺にこそ祝祷して欲しいものだ。」


「オレグ、身も心も悪人になったんだな。」

「ふふ~ん、……な~に金を持てば直ぐに善人の顔が作れるものだ。」

「顔だけかよ、随分と老けているくせに……もうお前は若くはないんだぜ。」


「ゲゲゲ……俺はまだ二十七歳だぞ。」

「いいえカジラスさま。ミドルの風貌が垣間見えております。もう子供が三人は居てもよいお歳でごいざいましょう。」

「それもそうなのだが、前の妻が堅すぎてな~……。いつまで経っても呼び捨てだったな。」

「では、私もオレグと呼ばせていただきます。それとこれはお父様の形見の品私が嫁ぐ良き夫へ渡せと言われておりました。」

「ス~テラさん、そ~れは……、」

「はい、ハンザ同盟の幹部の証でございますが、これだけでは都市の幹部にはなれません。実績がございませんので、このゴッドランドからのし上がって頂きませんと、ハンザの幹部にはなれません。」

「いいかオレグ、ロシアに寄付するような事をしても無理だからな。」

「そうか、賄賂が使えぬのか。」

「相手は政治家じゃねぇ、真っ当な商業ギルドという奴らなんだかな。俺が五十年掛けてみてきたんだ。随分と流通も進んでいるぜ。」



 1252年11月28日 エストニア・クルワンから転生したオレグ。人生の三分の二が今始まった。ヨーロッパは農業改革により人口が爆発的にこれからは増えて行くのだが、次の転生先では人口が爆発する、文字通りに爆発して今よりもマイナスになっていく。ここに祭られたモンゴリアの祟りだ、俺に向けられた呪いだ、祝祷なのだ……。


 俺は祭壇から見渡せる「薔薇の都・ヴィスビュー」を眺めていた。後ろではゾフィが俺を見て呟いている。当然、俺には聞こえない。


「オレグはトチェフでネズミを目の敵にしていたからな、今度はそのネズミの祟りだろうよ、」


 ソフィアによく似た魔女のステラ。何処に行っても魔女には変わりない。俺の災難はこの女から降りかかるのだろうか。それとも希望の星になるのだろうか。今宵はしぶんぎ座流星群……不吉の大大大の流れ星の到来か。


 リインカーネーションとはどのような花なのか。転生(輪廻)これから自らが咲かせる花の事だが、こんにゃくの花ではあってはならない。あれは一種の? 呪いのような感じで見ていた。この花の性質?性格がおぞましい……。


 この花の花茎に入った昆虫が出られないとしたら、それは蠱毒……そのものだから。ムカデ……イヤだな~! 庭に出るようでしたら消石灰を撒けばいい。


 可愛くて綺麗な女のステラ。さぞかしこの俺がムカデ……か。綺麗な花に寄ってくる虫を捕まえては捕食する。


「ゾフィ、ステラ。街の教会へ寄付に行く。」

「また買い物かよ。オレグも好きだよな。」

「なに慈善事業と、言って貰いたい。」

「私一人では……足りませんか?」

「お前だけでは足りない、俺の魔力源なのだから。」

「……?」


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