24話
数学の授業が終わり、一時間目の放課に入る。正直、茜との再会が衝撃的すぎて内容が頭に全く入ってこなかった。
死にたい。恥ずかしすぎて死にたい。
キーンコーンカーン…
終わりのチャイムが鳴り、挨拶をして放課に入る。
「(くいっ)」
茜が顎をしゃくらせ表に出るように合図してくる。
「(こくっ)」
もちろん拒むはずもなく頷き、立ち上がる。
『待て待て待て待て!』
クラスの人たちに呼び止められる。
「何か?」
「何か?じゃねえよ!何がどうなってるか説明してくれ!」
男子と1人が声をあげる。
「簡単なことだよ。僕たちは…僕たちってどんな関係?」
「…え?えっと…簡単には説明できないです…っ!」
「きゃーーー!そんなに複雑な関係なの!?」
「両親には挨拶した?」
女子たちが何を勘違いしたのか、甲高い声を上げる。この年頃の女の子って何でもかんでも恋話に繋げたがるよな(偏見)。
「べ、別にそんな関係じゃないです!」
「ねえねえ、キスはしたの!?」
「だからそんなことは…っ!!!い、いえ、ししししてないです…」
バカ!本当にバカ!たしかにキスみたいなのはしたけどノーカン!あれはノーカンだから!そんなに動揺したら肯定するようなものだろう!
「きゃーーー!」
「ちっ!イケメンがっ!」
「爆ぜろ」
ああぁぁぁぁ、僕のせいじゃないのにヘイトが溜まっていく〜。
「いやああぁぁぁぁ!」
あ、茜が逃げた。そして僕に集まる視線。ゾクリと背筋が泡立つ。この目は狩人の目だっ!ほとんど反射的に外に逃げ出す!
「あ!逃げたぞ!」
「追え追え追えぇぇぇぇ!」
「あの、次授業……」
クラス委員長っぽい男子生徒が小さな声で言う。いいぞ!もっと言ってやれ!
「構わん!面白そうだ!GOGOGO!」
「先生!?」
おい!それでも教師か!?
だがな!こちとら人外ステータスの持ち主だ!捕まえられるとは思うなよ!ふわははははははは!
☆☆☆☆☆☆☆☆
「追い詰めたぞ!」
「足速くね?」
「前の学校では陸上部だったんじゃない?」
「でも意外と簡単について捕まえられたね」
なんてことだ!五分と経たないうちに捕まってしまった。教室を出て左に曲がり、階段を降りて曲がったら行き止まりだった。
「ふふふふ。じゃあ茜ちゃんとどんな関係か教えてもらいましょうか」
ジリジリと生徒同士の隙間を作らないように慎重に追い詰めてくる。怖い!なんでそんなにチームワークがいいの!?
くそ!何かないか!
周りを見渡す。
・ホウキ ・ぞうきん ・ちりとり ・バケツ ・ロッカー ・窓(3階)
まともなのがない。しかし、ここで捕まったとして素直に話せるはずもない。どうしたものか。スキルも派手なものは使えない。隠密を使ったとしても彼らには僕が急に消えたように見えてしまうだろう。今こうして思考速度上昇など使って考えているように、見えなければ問題ない。【マップ】【万物感知】くらいしか発動できない。…おや?これは…。
神は僕を見捨ててなかった!
僕は振り返ってロッカーに駆け出す。がしゃんと勢いよく開けるとそこにはーーー
「こんにち…まっ待て閉めるな!痛い挟んでる!挟んでるから!」
茜が隠れていた。青い顔をしながら開けられたドアを閉めようとして僕の指を何度も勢いよく挟んでる。
「諦めて僕の身代わりになってくれ」
「いやです!何故かみんな今日すごく怖いんですよ!?教室を出たと思ったら先生も面白がって追いかけ始めるじゃないですか!しょうがないと思い隠れたらこれですよ!ていうかどうして見つけられたんですか!?」
「小さいことは気にすんな。一緒に苦難を乗り越えようぜ!」
「ぶん殴りますよ!」
おっと危ない。言いながら殴ってくる茜の性格が素敵です。
「元はといえばお前があんな反応するからだろう!」
「そんな事より時間がありません!どうにかしなければ!」
「露骨に話を逸らすのが気に入らないがその通りだ!」
「いい案が浮かびました!どちらかが突っ込んで足止めをし、もう片方が窓から二階に降りるのはどうでしょう!」
なんて素晴らしい案なんだ!天才か!?
「「よし!じゃあ頼む(みます)!」」
そう言って2人で窓へ駆け出す。
「ついてくるなお前が突っ込め!」
「嫌ですよ!あなたが犠牲になってください!」
「お前今犠牲って言ったな!」
「うるさいですよ!ほら!もう後がありません!」
ちっ!仕方ない、ここから落ちたとしてもノーダメージだろうがそれだと怪しまれる。3階から落ちたら普通に骨折だからな。だから少し工夫をしよう。
「じゃあ頑張れよ!」
「ええ!?どうするんですか!?」
「とう!」
窓をジャンプし、向かいにある木の枝に飛び乗り、ぴょんぴょんと降りていく。これなら身体能力が少しいいだけだと言い訳できる。
「ふわははははははは!あとは頑張ってね!」
「ちょっと!ずるいですよ!」
「おいバカ!そんなに身を乗り出すと落ちるぞ!」
「わっ!ちょ落ちっ!きゃあああああ!」
「ほらあああ!」
仕方がないから落下地点まで走る。余裕で間に合うな。
「よっと」
衝撃が来ないようにふわりとキャッチする。思考速度が加速した中でこんなことをするのは造作もない。ステータスもあるけど。
「大丈夫か?」
「……え、うん」
よし、ならば僕はもういくぞ!
僕は茜を下ろし、駆け出した。




