光あれ
「、、ご主人様」
息子と共に馬車の車内の違和感を調べていると御者から声が掛かり、前面の小窓を開ける。
「あちらを、、アレ何ですかね?」
御者に言われて街の方を見ると、街の真ん中で空に何かが浮いていた。
ホント、何アレ?
※※
街の人間を驚かせないように、ゆっくりと街中の大通りに入る。
騎士団の旗と領主印の馬車という事で、町民は直ぐに領主の一団だと分かる。
町民は領主のために道を空け、大通りの中央を馬車の一団がゆっくりと進んでいく。
「何か並んでいるな」
「この雰囲気、、祭りでしょうか?」
秋の収穫祭でも無いのに?
空には相変わらず変なものが浮いているが、
良く見ると数人の人間が吊り下げられたカゴに入っているらしく、領民が下に向かって手を振っている。
「浮いていますね、、何でしょうね、地面と綱で繋がっているようですが」
「、、、」
私にも何だか分からない。
町民の顔を見るに危険なものでは無さそうだが、
領都の2階の屋根を少し越えた辺りで、丸い球と吊り下げられたカゴが止まっている。
何かとてつもないものを見せられているようで、
あっ、でも馬車のシートが思考を邪魔する、、からだがシートに沈む、、
※※
領邸への坂を軽快に馬車が駆け上がる。
まるで馬車が無いかのような軽やかさで馬が駆け上がる。
「何か、色々とおかしいな」
「うーん、お母様からの手紙には何か書いて無かったのですか?」
「無かったなぁ、、演劇の内容への催促とグチが半分を占めていたな」
「お母様も忙しかったのでしょうか」
領邸の門をくぐり、正面の馬車止めで馬車が止まる。
邸前には妻娘と共に邸内の使用人が列を作っている。
いつも通りの風景だ。
「、、、」
「おかえりなさいませ、アナタ」
「、、うん、ただいま。何か、光ってるな」
出迎えてくれた妻娘の髪の毛が陽に照らされて、眩しく光っていた。




