微風
「お迎えにあがりました、閣下」
領都に残して来た副騎士団が臣下の礼を取る。
息子と騎士団長を従えて返礼を返す。
「うむ、ご苦労。、、悪いな、わざわざ」
「いえ、奥方様から是非にと言われましての事ですので」
替え馬まで用意してくれたらしい、脇では騎士団と護衛団の間で編成の入れ替えを話し合っているようだ。
「皆は変わりは無いか?元気にしているのか?」
「はっ!、、はっ、そうですね!万事変わりなく!」
何か今、言い淀んだか?
「所で、、えらく良い鎧を着てるな」
「はっ、、領の鍛冶師が新しい物を考案したとかで、試験的に使用具合を試している所でありまして」
ふーん。
「馬も調子が良さそうだ」
迎えの騎士団の馬を見やるが、どれも毛並みが良い。
「、、そうですね、馬番が何かと心を砕いてくれているようで、、」
そうなのか、それは何か褒美を考えないとな。
「後、奥方様から新しい馬車をとご用意させて頂いておりますので、こちらの方へ乗り換えをお願いいたします」
「分かった、世話になる」
※※
「ふぅ、、」
騎士団が引いてきた馬車に乗り換えてひと息つく。
「あの、、父上、副騎士団は『新しい馬車』と言いましたが、これ新しいですかね?」
「ん?」
確かにそう言ってたな。
言われて車内を見回すが、確かに中古の馬車だ。
そこら辺に見覚えがある。
「聞き違いかもな、、」
「はあ、、まあ走るのなら何でも良いのですが」
程なくして、旅団は領都に向けてゆっくりと進みだした。
※※
旅団は一路領都を目指す。
軽い馬車の揺れが眠気を誘い、ウトウトとしてしまう。
あー、気持ちいー、なんだコレー、
味わった事の無い浮遊感と安心感。
いつもこんななら、王都への道程もどんなに楽か。
外で感じていた残暑の暑さも、馬車の中では感じ無い。
締め切っているのにまるで野を駆けるような微風まで感じる。
「、、、?」
窓を確認した。
閉まっている。
反対側も閉まっている。
何で締め切ってるのに風を感じるんだ?
しかも本当に車内が涼しいぞ?




