仕事
『純化』ねぇ。
物質の変化までを付与と言うのかしら?
しかも普通、付与魔術は一時的な変化で時間経過で効果を無くすというのに、
耳飾りもグラスも変化したままで安定してしまっている。
騎士団の魔術師に見せても魔術的な痕跡が見とれなかった。
これは本当に魔術なのかしら、、。
いえ、そもそも動物との対話というのもおかしな話で。
いっそ正直に打ち明けて、彼に古代文字について聞くべきかしら。
エルヴァナとは良い関係になったようですし。
そうそう、エルヴァナと言えば耳を可愛らしく真っ赤にしちゃって。
まさかダークエルフの彼女が人間の男に惹かれるなんて、まるで恋物語じゃないの。
はっ!?そういえば王都の演劇で新作が出たのだったわ。
旦那様には詳しく劇の内容を送ってくださいと頼んだのに、一向に送ってくださらない。
これは由々しき事態では!?
王都と離れた土地だからこそ、流行に遅れる訳にはいかないというのに、
何故殿方は分かってくださらないのかしら。
そもそもいつも仕事しごとと、領内の差配をわたくしに押し付けて。
大体いつも旦那様は、、
※※
アレから俺の仕事に領邸のガラスを『純化』させる仕事が増えた。
エルヴァナさんは呆れているし、お嬢様は未だに宝石箱を抱えて俺の隙を狙っている。
「ルーナさんが鉄壁のガードをしてくれているが、、」
魔力切れが怖いので1日の作業量は控えているが、俺が移動する度にひとけが消えるので、
邸内で距離を置くように、なんて差配がされているんだろうか。
「変わらず付き合ってくれるのは料理長と馬番さんだけなんだよなぁ」
馬番さんに『共鳴』をプレゼントしたら大層喜ばれた。
涙をダクダクと流しながら喜んでいたので、相当なものだったのだろう。
「馬番さん程のプロなら、あいつらの言葉が分かるんだろうか、、」
異世界付与魔術は相変わらずの謎だらけだ。
※※
「お父様、領から手紙が来たそうですね」
「ああ、、」
「お母様からですよね?クラリッサからも?」
「うん」
「?お母様は何と?皆は元気なのですか」
「そうだな」
「お父様?」
「うむ」
「ハゲ」
「分かっとる」




