小鳥
朝、小鳥のさえずりで目覚めると、エルヴァナさんの姿はベッドには無かった。
俺が脱ぎ捨てた服はベッドサイドの椅子に揃えられている。
気だるいからだをベッドから起こして、頭を振りからだを伸ばす。
「ふぅ、、」
今日はもう本邸へ帰るだけだが、途中で街に寄ってみないか?そう彼女に言おうかな。
※※
「おはようございます」
「、、おはよう」
エルヴァナさんは先に朝食の席で俺を待っていてくれた。
俺が席に着くと、女中が食事の用意を始める。
「あぁ、、柔らかパンだ、、」
料理長に教えた柔らかパンは順調に世に広まっているらしい。
「、、コレ、美味いよな」
「固いパンも、それはそれで美味しいですけどね」
エルヴァナさんは何か言おうとして、止めてしまう。
「鳥が」
「!?」
「鳥がですね、バルコニーに居たもので少し話をしたんですよ」
「お前、、いや、で、鳥が何か言ったのか?」
「はい、今日の天気は良いだろうって言っていました」
「、、、」
※※
館の管理人がお土産に花を持たせてくれて、
エルヴァナさんが嫌そうに受け取っていたのが印象的だった。
花束を抱えたエルヴァナさんを馬の前の席に押し上げて、鞍の後ろに飛び乗る。
エルヴァナさんの脇から手を差し入れて、手綱を握る。
「大丈夫ですか?進めますよ?」
そういうとエルヴァナさんは僅かに頷いた。
※※
気を遣って鞍を揺らさないように慎重に歩を進める馬に(気を遣い過ぎだ)と心の中でツッコミを入れてしまう。
山を背に街道を行く。
「大丈夫ですか?後ろに置いておきますか?」
エルヴァナさんの持つ花束に手をやると、エルヴァナさんが身を固くする。
「ん、うむ、頼む」
エルヴァナさんの長耳が赤くなるのを見ると、またイタズら心が沸き起こるが我慢した。
※※
「ん?あれ?」
「、、何だ?」
「あれ、今朝の鳥かも?」
馬を歩ませていると、馬の頭に一羽の小鳥が止まった。
「ふぅん、、何か言ってるのか?」
「さあ?」
エルヴァナさんの肘鉄が脇に刺さり、俺は痛みに呻いてしまった。
「いや、、本当に会話ができる訳じゃないんですよ、、」
「どうだか、、お前の言う事は信用ならん!」
エルヴァナさんが馬上で怒るのを小鳥が首を傾げて見上げている。
馬が「ぶるる」といなないたが、相変わらず何を言っているのか分から無い。




